少し間が空いてしまったが、『アケボノゾウの群れ』制作プロセス完結編。
学生と一緒の制作ということもあって、こんな遊びも同時にやっていた。
ちょうど制作をしていたスペースの入り口のところに、公開制作の広報としてポスターをつくって掲示していた。春休みだったこともあり、それほど学生の見学はなかったが、熱心に見に来る何人かの学生もいて、制作現場は毎日慌ただしかったのをよく覚えている。
メインのアケボノゾウがほぼできあがってきた。
奥のアケボノゾウはまだまだこれからである。
ゾウの肌を表現するために、かなり極端にアクリルメディウムでテクスチャーをつけている。
展示も意識した公開制作スペース。
主役であるアケボノゾウは、ほぼ完成まで進んできたが、この後、重大な間違いが見つかる事になる。
化石標本の写真と比較したところ、奥のアケボノゾウの牙の角度が、大幅に間違っている事に気がついたのである。
どれほど完成に近づいていても、修正すべきものは修正しなくてはならない。
さらに奥のアケボノゾウにまで影響が出る。
牙の修正完了。ようやく背景へと筆を進めていく事ができる。
眼のディテール。少し写真がピンぼけ。
完成。ほぼ1年にわたるプロジェクトだったが、実際に制作に費やせた期間は3週間ほどだった。骨格標本の組み立てを待って進めた事もあり、大幅にスケジュールが後ろへずれ込んでしまった。ただ、復元画の制作には、どうしてもこれぐらいの時間はかかってしまう。復元画のようなものでよいのか、復元画が必要なのか、で時間もコストも大きく変わってしまうのである。
『アケボノゾウの群れ』は平成20年度の成安造形大学特別研究助成金により制作をした。数名の研究生との共同作業で、下地塗りやトレースなどで協力してもらった。
当時のイラストレーションコースで共有していたスペースに、短期的に作業場所を確保し、公開制作という形をとって進めていった。
かなり初期の段階で描いたラフスケッチ。新しく組み立てられた骨格を元にしている。
さらに精度の高い復元を行うため、撮影した骨格図をトレースする準備を研究生にお願いしているところ。
トレースした骨格図の上から肉付けをしていく。方眼の線が入っているのは、キャンバスに拡大する目安にするためである。このエスキースはB1サイズ。
かなり進んで来た状態。鉛筆でどんどん描いていく。
背景の一部を研究生にお願いしながら、複数のアケボノゾウを描き込んでいく。
毎日毎日、大量の鉛筆を削ってくれたのも研究生。今、彼はイラストレーション領域の助手の一人である。結構、長い付き合い。
完成したエスキースを元に、方眼の位置を拾いながらキャンバスに拡大していく。キャンバスのサイズはP120号(1120 1940mm)。
ゾウの皮膚を表現するため、かなり極端にテクスチャーをつけている。透明な素材のため、写真ではあまり目立たないが、表面はかなり凸凹している。全てアクリル絵の具による制作。
監修者の小西さんと復元について検討中。制作はまだまだ序盤。
偶発的な効果を狙って、絵の具を上からドリッピング。
徐々に浮かび上がってくるアケボノゾウ。構図はほぼ完璧に写されているので、細部から描いていく事ができる。
ディテール。
胴体へも描写を広げていく。
テクスチャーの凸凹がより分かるように、斜め上から撮影してみたもの。
(続く)