STUDIO D'ARTE CORVO

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update 2020.05.10

Tambatitanis amicitiae の復元プロセス3(全身骨格図側面編)

頭骨に続き、全身の骨格図の制作へと進めていく。前肢、後肢の骨格は全く見つかっていないため、それぞれのプロポーションがどの程度あったかは推測するしかなく、脊椎全体がどれぐらいの傾きであったかは、この時点で判断することはできない。頚椎もなく、胴椎もわずかなどこの場所か特定できない部位しかない(現在、頚椎の一部が発見されている)が、仙椎、尾椎、骨盤の保存状態は良く、ほぼ完全と言っても良い状態である。特に尾椎は関節しており、その形態は特徴的で血道弓も非常に長い。
頚椎から復元をしていく。手がかりがほとんどない状態での復元は困難を極めるが、監修者の考えが色濃く反映されることになる。見つかっている部位から推測される系統関係を探り出し、最も近い関係にある既存の標本を参考にラフスケッチを描いていく。

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最も初期のラフ。頚椎の数を13個と想定している。頭骨の復元と同時に進めていた部分があり、環椎の形態が修正前のままである。

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胴椎のラフ。Brachiosaurusを参考にしたものだが、すぐに違う種を参考にすることになった。

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このラフの元になったのは、Phuwiangosaurusの未記載種である。監修者が調査で撮影した写真を元にしている。

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頚椎、胴椎、仙椎、尾椎の一部までのラフをつなげたものである。部位に分けてラフを描き、Photoshopでつなげている。部位別に修正を容易にするためである。
このラフができた時点で、監修者へ画像とともにメールを送る。

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頚椎に関しての修正指示。
「修正点は2つです。
①前関節突起の背側が膨らんでいる。以前お送りしたPhuwiangosaurusの写真とErketuの論文中の写真で前関節突起のふくらみを確認してください。これがブラキオサウルス科を除いた基盤的ティタノサウルス形類に見られる特徴です。
②頚肋骨の伸びと重なり。頚肋骨の細く伸びた部分はそれぞれの2つ後ろの頸椎まで伸びると仮定しました。1つ後ろの頸椎に達した当たりで頚cmくらい、次の頚肋骨と重なるくらいで5mmになると仮定します。あと重要なのは重なり具合です。前から伸びるものは常に後ろのものの腹側に重なります。こうなる理由は頚肋骨の細い部分は骨化した腱で、その先端(後ろ)には首の基部にある筋肉につながる腱が伸びていたからです。」(監修者メール)

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具体的に指示をしてもらえるのは非常に助かる。
「胴椎、仙椎、尾椎の分です。腸骨はもう少し背側にdiapophysisの連なりのラインと並ぶように伸ばしたほうがよいかもしれません。」(監修者メール)

限りある標本から復元するときに最も気をつけなくてはいけないのは、最初に全体のイメージを持たないことである。系統関係から近い種を導き出して参考にするが、まだ未知の生物を復元するわけであるから、一つ一つの証拠を積み重ねることで見えてくる結果を大切にすることが重要である。

参考文献
Daniel T.Ksepka, and Mark A. Norell. 2006. Erketu ellisoni, a Long-Necked Sauropod from Bor Guve (Dornogov Aimag, Mongolia). American Museum Novitiates No. 3508 : 1-16.

Tambatitanis amicitiae の復元プロセス2(頭骨編)

前回の頭骨と頭部の復元が完成した段階で、歯の修正が必要なことは、監修者から示唆されていた。実際には全身骨格の復元と同時に修正を行ったのだが、時系列を無視してそのプロセスを紹介する。

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歯列を修正するために届いた指示書がこれである。左の図は発見されている脱落歯(生前に抜け落ちた歯、恐竜の歯は何度でも生え変わる)、右の図は下顎に残された歯槽から推測される歯冠のプロポーションである。上下の歯がきちんとかみ合うように、それぞれの歯の咬耗(すり減り方)が再現されている。

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既存の骨格図にトレーシングペーパーをかぶせて、新たな歯のスケッチを鉛筆で描いていく。上下を合わせて咬耗の具合も慎重に検討していく。

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Photoshop上でスケッチの部分を合成し、これを監修者に送って判断を仰ぐ。無事、OKが出たところで、ペンによる修正に移行していく。

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ペンにより歯が修正された。以前のものより、太く大きくなっている。

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上下の歯がきちんとかみ合うかどうかを確認した画像。Photoshopで下顎の位置を動かすことで、正確な位置を確認することができる。
歯のプロポーションが大きく変化したため、生体復元の顔つきにも修正が必要になった。

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部分的な修正とはいえ、皮膚は全て繋がっているので、その箇所だけを直せばいいというわけにはいかない。口の周り全体に手を加える必要があったため、それなりに時間も手間もかかっている。サインにも「2013」の数字が追加されている。
頭骨から頭部にかけての復元にもこれだけの時間とプロセスが必要になる。もっと保存状態が良い標本であればスムーズになる部分もあるが、かかる労力にはそれほど大きな差はないだろう。
次はさらに大きな部分である、全身骨格図へと復元作業を進めていく。
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