時事放談カフェVol.2『「大阪都」構想ってなに?どう変わる?』
2015年04月19日 01:04
先日、時事放談カフェvol.2『「大阪都」構想ってなに?どう変わる?』という勉強会に参加してきた。なんとなく「大阪都」構想に胡散臭さを感じてはいたものの、具体的に何が問題で、橋下市長が主張しているメリットが何なのかがよくわかっていなかった。しかし、話を聞けば聞くほど、これほど不味い方向の舵取りはないという事が分かってきた。ただし、僕にはこの住民投票に参加する権利はない。
演者は立命館大学教授の森裕之先生。この場で話されたことは『
徹底バクロ!大阪都構想のウソ』(リンク先はPDF)に詳しく書かれている。最も単純で分かりやすい事実として、都構想が実現したとしても、「大阪府」は決して「大阪都」にはならないということ。そして、こちらのほうが重大で大きな問題である「大阪市」が消滅するということだ。
経済があまり良くない現状に対して変化を求めるのは自然な事であると思うが、わざわざ上手く行っていることまで大転換する必要はない。何が悪くて、何が良いのか精査して進めるべきだ。大阪市を解体して5つの特別区にするというが、それだけでも莫大なコストがかかるだろう。特別区の区庁舎を新築で建てる事になるだろうし、住所が変わるので町中の住所表示の変更作業も膨大だし、住所地が変わるとクレジットカードやキャッシュカード、ネット通販で登録した住所もこれまでのものは無効になる。それだけの手間を考えたって、わざわざ「大阪都」にもならない「大阪市」が消滅する都構想に賛成することは出来ないと思うのだが。
二重行政の問題も、「大阪都」構想でなければ解決できない問題なのか?それ以外に全く手段はないのか?
今度の住民投票の
内容は「特別区の区割りや名称など、特別区設置協議会でとりまとめた特別区設置協定書が、大阪市会と大阪府議会で承認されたことを受け、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に基づき、特別区設置の賛否について住民投票が行われることとなりました。」とあり、どこにも「大阪都構想」や「大阪市の廃止」という文言はない。きちんと事実が伝わっているとは言いがたく、大阪都構想を推進したい人間たちがわざと分かりにくくし、煙に巻こうとしているとしか思えない。多くの大阪市民にとっても「よくわからない」ということが事実なのだと思う。
橋下市長は「自動車を買う時に、エンジンまで調べて買いますか?都構想も市民は中身まで知らなくてもいい」などと公言しているらしい。これが民主主義と言えるのか?衆愚政治そのものではないか。市民を、有権者を馬鹿にするのも大概にしてほしい。
「よくわからない」場合は反対票を。棄権は賛成票のパーセンテージを上げるだけの危険な行為となる。将来的に大阪都構想に舵を切るという判断もあるかもしれないが、現時点においてこれだけ性急に決める事ではないのではないか。僕にとっては対岸の火事しかないかもしれないが、大阪市の有権者の皆さんには、ぜひとも賢明な判断をしてほしいと思う。どう考えても、ほとんどの市民は利益を被る事なく、多くが不幸になってしまう、そんな構想でしかないのではないだろうか。