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2011年3月21日

写真と写実(twitterまとめ)

先日、twitter上で「昔の人は何故写実的に描かなかったのか?(かなり誤解あり)」といったツイートが友人からあり、そのことについてまとまったツイートをすることになったので、以下に全文を掲載しておく。
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現代においても写実とは何か?という問いに明確な答えはない。写真の発明以前と以降で、絵画の役割に大きな変革があったが、はたしてどれほどのものだったのだろうか?
フェルメールに代表されるように、写真以前においても絵画制作に光学機器が使われている。当時の人間も写真のように世界をとらえることを試行していたのかもしれない。
ただし、写真自体はないので、何を目指そうとしたのかは分からない。おそらく偶発的に穴から壁に映ったイメージをとらえようとしたのかもしれない。また、デューラーのスケッチを見ると、硝子の板に点をとって構図を決定しようとしている物がある。
ちょうど昨年末ごろ、デヴィッド・ホックニーの「秘密の知識」という本を入手した。この本の中でホックニーは、アングルの描くデッサンがあまりに巧みすぎることに対して、ある仮説を提示している。
光学的な補助具を使ってイメージをトレースしてから描き始めたのではないかという説である。使用されたのは、カメラルシーダ。カメラオブキュスーラと違って明るい室内や野外で使用することができる。
僕も現在市販されているカメラルシーダを購入してスケッチをしてみたが、それほど容易に使える道具ではない。かなりの熟練を必要とする。
16世紀から17世紀にかけて油彩の技術は飛躍的な進歩をとげて、写実的に描く技術も頂点に達する。ホックニーはその進化の過程に光学機器が重要な役割を持っていたと示唆している。
貴族の豪奢な衣装を描くとき、モデルに長時間のポーズを今以上に強いていたのかもしれないが、服の皺が常に一定の形で出るとは考えられない。おそらく光学機器の助けを借りて短時間に皺の形を写し取っていたのではないだろうか。
金属の光沢。複雑な甲冑のフォルム。ある表情の瞬間をとらえた肖像画。まるで写真を使って描いたのかのような絵画が存在する。いくら優れた技術を持っていたとはいえ、それだけでは説明のつかない完成度が当時の油彩にはある。
現代では瞬間的なポーズであっても写真を利用することができる。目指すべき目標と答えがすでにあるようなものだ。では、はたして写真に近づけることが絵画の目的であり、写実の重要な点なのであろうか?決してそうではない。
写真は光の量をとらえているだけにすぎない。肌と眼球の質感が違うことなど分かっていない。我々の身体の中に骨格があることも、筋肉で動いていることも写真にはなんの関係もないことである。
写真家杉本博司にろう人形を撮影したシリーズがあるが、一見生きた人間を撮影したもののように見える。そこには歴史上の偉人たちが写っているので違和感をすぐに感じるのだが、写真にとっては生きた人間も、命のない人形も関係ない。
絵に描くとき、僕たちは人間の中に骨や筋肉や内蔵があることを知っている。顔を描きながら、その人に後頭部があることを知っている。だからこそ、僕たちは写真以上に多くの情報量を絵画のなかに込めることが出来る。
結論を急ぐと、写真以前と以降において、絵画の持っている優れた点は何も変わっていないと思う。答え合わせがやりやすくなったか、そうでないかの違いだろうか。写真が発明されても絵画なくなることはなかった。
現代の写実をどう評価するかはここでは述べないが、現実の世界をどうやって絵画という二次元の世界に再現するかという命題を追い続けてきた人類の歴史は、今でも尊く気高いものであると、人間にしか出来ない抽象化であると僕は思っている。
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投稿者 corvo : 12:31

2011年3月 5日

ArtRage3 Studio Pro ライオン 2

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描いているときりがないので、ここでひとまず筆を置く。
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ディテール。

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投稿者 corvo : 23:59

2011年3月 3日

ArtRage3 Studio Pro

ずっと同僚の先生に薦められていた、ArtRageを本格的に導入。体験版が非常に良かったので製品版を購入した次第である。
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モデルはこのライオン(モデルにすることは撮影者に許可をいただいています)。
紙に鉛筆ツール。あくまでもデジタル上のツール。ここまでアナログのタッチを再現することができれば、これまでのように鉛筆で描いたものをスキャンする必要はない。ペンタブに習熟していれば、ほぼアナログと同じ感覚で描くことが出来る。これまで主にPhotoshopを使っていたが、独特のデジタル的な表現に馴染むことが出来なかった。でも、それは僕のアプリケーションに対する理解度が低いことが原因でもあるのだけど。
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水彩ツールで色もつけてみた。
デジタルの最大の問題は原画が残らないこと。あくまでもデータの集積でしかない。こればかりはどう逆立ちしてもアナログ画材にはかなわない。やはり画材の持つ物質感は何事にも変えがたい。
最近、デジタルデータを出力した作品を展示する学生が多いが、販売する場合、厳密に版画として扱うべきだろう。きちんとエディションをつけて限定部数を刷ったところでデータを破棄。画面には必ず鉛筆でエディションナンバーとサインを記入。ここまでやって初めて商品として成立するはずだ。出力したものをあたかも一点しかないように売ることは、決して許されることではない。まだ確立されていない部分もあると思うが、明確なルールを決めていく必要があるだろう。
原画を手に入れる喜びは、その作品が世界にただ1点しかないからだ。
デジタルデータである限り、無数にコピーを作ることが出来る。何枚でも出力出来るのでは、それはポスターなどの印刷物となんら変わらないのである。

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投稿者 corvo : 01:50

2010年9月23日

雨はやっかい

今日も画像無し。なんだか寂しいエントリーが続くなあ。
100号のキャンバスを張る予定にしていたのだけど、雨のためやむなく中止。もちろん外で張るわけではないのだけど、湿度が高いとキャンバスが縮むため、晴れた湿度の低い日に張ったほうが、ぴんと強く張ることが出来る。
次の100号も、10月上旬には完成の目処をつけておかなくてはいけないので、急ピッチで制作しなくては。週末は出張、打ち合わせと時間を取られてしまうので、週明けからどんどん進めていきます。

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投稿者 corvo : 23:57

2010年4月25日

特殊任務用トリガー式イーゼル

これまでイラストレーションクラスになかったトリガー式イーゼルを、ようやく導入した。購入はクレサンジャパンから。
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どんなものでも、開梱し組み立てていく過程はわくわくする。
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早速、制作中のパネルをセットしてみた。これまではデッサン用イーゼルを使っていたのでひどく作業効率が悪かったが、これで3倍の速度がでるはず(3倍という数字にはなんの根拠もありません)。小さい作品から大きい作品まで、瞬時に画面の高さを変えたり、キャスターで移動できるのが嬉しい。学生にも使って欲しいので、クラスで数をそろえて欲しいと希望を出しているところである。ただかさばるのが難点。

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投稿者 corvo : 01:38

2010年2月28日

Apatosaurus "digital" 2

更新遅れがちです。
ようやくアパトサウルスの続きをアップ。当初、制作にはPainterを使うつもりだったのだけど、動作が不安定で重たいところがあるので、結局Photoshopで描いてしまった。アプリケーションが立ち上がるまで時間がかかるが、画面のズームなど素早くスムーズに行えるため使いやすい。
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モノクロエスキースの上に別のレイヤーで彩色していく。
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アウトラインにはレイヤーマスクをかけているので、細かい部分は気にせずに塗り絵の感覚で色をのせていける。
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完成。かなり地味な体色にした。レイヤーをかけて模様を描き込むことも、後から簡単にできるのがデジタルの大きなメリットでもある。
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時間さえ許せば、際限なく細部まで描いていける感覚になる。一度、仕事とは関係なく時間をかけたものを描いてみよう。

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投稿者 corvo : 10:12

2010年2月25日

wacom intuos4 を導入

Wacomのintuos3に換えてintuos4を導入。発売直後に同僚の先生に勧められていたのだけど、こんな時期になってしまった。結論、「これは良いものだ!」。幾人もの方が書いているが、筆圧感知が素晴らしい。もっと早く使っていれば様々なストレスから解放されただろうと思うと、ちょっと後悔してしまう。筆触も紙に描く感覚に近く、コントロールしやすい。不用意に滑る感じがなく、的確にタッチを入れることが出来る。
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大きさはlarge。これからがんがん使っていこう。

唐突だけど、今日いろいろと開き直った。がつんといきます。

ちょっと高くなってる。

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投稿者 corvo : 23:06

2009年12月18日

Painter11のトレーニング

ずいぶん前にモニターでもらったPainterをちょっとだけ使ってみたのだけど、マシンスペックの低さや、僕がそれほどデジタル化に熱心でなかったので、結局ほとんど触らずにきてしまっていた。今年になってPhotoshopで描くことを多少覚えたものだから、デジタル作業が面白くなってきた。
今日は久しぶりに恐竜を描いてみようと、アパトサウルスのラフにトライしてみた。まだ途中。
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B4サイズで、350dpi。
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画材は鉛筆(2B)。アナログでもよく使う硬さだ。


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投稿者 corvo : 00:01

2009年3月 3日

超大型スキャナー

今日は朝から社会見学。アケボノゾウの復元画をスキャニングしてもらうところをGoogleで探して、見つけたニューリー株式会社へ同僚の先生とTAさん2人と一緒に見学に行ってきた。原画のサイズが194 x 112 cmと大きいため、スチール撮影するか、分割でスキャニングするしかないと思っていたのだが、京都市内にこの会社があることが分かり、早速メールで連絡をとったところ、見学会が実現したのである。もともとニューリーさんでは、日常的に見学会を実施しており、僕たちが特別に見せてもらったわけではないのだけど、ショールームに設営してあった機材はどれも垂涎の的といっても良いものばかりだった。大学に潤沢な資金力があれば、すぐにでも導入したいものだ。
面白かったのは、平面をスキャニングするだけでなく、立体的な凸凹もスキャニングすることができる事だ。また、A1サイズまでなら、厚み10cmまでの立体物もスキャニングすることが可能である。

今回サンプルとして、持ち込んだカラスの仮剥製をスキャニングしてもらった。
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ほぼ全ての部分にピントがあっているのだけど、立体感まで再現されている。
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ディテール。これだけ拡大しても、見事に質感を感じる事ができる。
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ほぼ等倍の画像。新しい眼を獲得したようなものだ。

「アケボノゾウ」がきっかけで、非常に面白い経験が出来た。
これほどの技術力を持った会社が、大学の近くにあるとは。関西恐るべしである。

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投稿者 corvo : 23:10

2008年10月25日

Digital drawing 0001

これまで僕は全ての絵をアナログ素材で描いてきた。以前にはデジタル画材を否定するようなエントリーも書いたことがある。よくよく過去のエントリーを読み直してみると、タブレットを買ったときに本格的にデジタルを始めよう、などという記述があった。それから何年たったことか。
そう、急に思いついたわけではないのだけど、仕事の絵を徐々にデジタルに移行していくことを考えている。特に復元画の仕事には修正はついてまわる。骨格図の微調整も日常茶飯事である。そんな作業には、やはりデジタルが向いている。また、大学に勤めたことも大きかった。デジタルに習熟した同僚の先生の存在が背中を押した。
今はタブレットの感触になれるのと、フォトショップの機能を使えるようになることに重点を置いている。また、デジタルの持つ特性も理解しなくてはならない。よちよち歩きの赤ん坊のようなものだ。

そこで描いてみたのがこれ。自画像である。
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Photoshop CS3。使ったのはブラシツールと消しゴムツールだけ。学生時代のデッサンのように無駄な線が多い。デッサンも少し狂っているかな。まずは一歩は踏み出した。このまま立ち止まらずに進んでいきたい。

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投稿者 corvo : 03:31

2008年8月 7日

鉛筆削り

ナイフの話が出たので、鉛筆の削り方について書いておこうと思う。以前にもひょっとしたら書いたかもしれないが、まあ鳥頭(3歩歩くと忘れる)の書くことだと思ってご了承いただきたい。
4月のエントリー「関兼常」で紹介したナイフは今も愛用しているし、時々鞄の中にも入っている。
なぜ鉛筆を削るのにナイフが必要なのか?それは次の写真を見ながら説明していこう。
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左側は鉛筆。右側はチャコールペンシル。削り方は基本的に同じである。決してきれいな削り方ではないと思うが、僕にとってはこれでないとだめなのだ。なので、電動の鉛筆削りは未だに持っていない。電動のものだと、削った後の芯はきれいな円錐形になる。これでは都合が悪い。なぜかというと、尖った部分が一点だけになってしまうからだ。この一点が減ってしまうと、それ以上鋭い線は引けなくなってしまう。しかし、写真のように多角形に芯を削っておくと、それぞれの角を使って、長い時間鋭い線を描くことができる。膨大な量の線を必要とするデッサンにおいては、この効率の違いはものすごく大きい。
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さらにアップの写真。美しくはないが、機能的に優れた削り方なのである。誰がなんと言おうと、ナイフは鉛筆を削るのに必要なのである、

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投稿者 corvo : 02:02

2008年4月 8日

関兼常

滋賀へ赴任する餞別にと、友人が「関兼常」のナイフを贈ってくれた。両刃がついており厚みもほどよく、鉛筆を削るのに最適なサイズである。切れ味も素晴らしい。ゴツゴツとした一見しあがっていないような持ち手なのだけど、不思議と手も痛くならず疲れない。鉛筆で仕事をしているときは、毎日何十本という鉛筆を削ることになるので、切れ味鋭く疲れないナイフの存在は、とてもありがたい。タカ・マスカラスに感謝です。(もっと仕事をしろという意味も込められているはず)
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鉛筆も関西事務所用に新調し、削りおろしである。
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細身だが無骨なフォルム。
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妖しく光る刃。よからぬことを考えてはいけません。
大学の研究室も大分整理されてきた。部屋の様子も近々にレポートします。
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投稿者 corvo : 23:41

2008年2月28日

ガンタッカ

先日、キャンバスを張っていたところ、ガンタッカの調子がおかしくなってしまった。わざわざ釘で打つのも面倒なので、学生時代からものぐさな僕はガンタッカを愛用していたのだけど、ついに駄目になってしまった。20年近く使ってきたので寿命がきてもおかしくない。
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これがなくては仕事にならないので、近くのホームセンターで急遽購入。6500円ほど。外見の仕様はまったく変わっていないが、少し値上がりしたかな。学生のときは買うまでにけっこう勇気のいる値段だったなあ。
さすがに新品の使い心地は快適でした。
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投稿者 corvo : 23:32

2008年2月17日

塩ビパイプで発送

これは金曜日の出来事。土曜日午前着で送るため、梱包の準備。これまでだとパネルに水張りしていたので、多きな板状のものを発送していたのだけど、コストの問題や取り回しのしにくさを考慮して、今回は丸めることのできるキャンバスにしたのである。
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まず木枠から慎重に外していく。とにかく画面に傷をつけないように、細心の注意を払う。自分で修復できるとはいえ、傷つけるのは精神衛生上よくない。
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絵を丸めるときは、画面を外側に向けて丸める。クラフト紙に包んで塩ビパイプの中へ。
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2ヶ月あまり絵の存在したところに、今は木枠だけがぶらさがっている。
指定通りの時間に到着した連絡を受け取ったので、一安心である。どんな展示空間になるのか楽しみです。
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投稿者 corvo : 15:45

2008年2月13日

梱包材

大作も完成したということで、発送するための梱包材を用意。今回は木枠に張った状態ではなく、キャンバスだけ丸めて送るので、硬いパイプ状のものが必要だった。最初はボール紙でできた、太いパイプを探していたのだけど、近くのホームセンターにはなく、ちょっと思案したところちょうど良いものを発見。
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それがこれである。この写真は部品を組み立てた後のものだが、使用したのは排水などに使う塩ビパイプ。安価(総額1500円ほど)で丈夫。直径100mmで長さは1100mm。少し重いが。これで絵が駄目になることはないだろう。ネジのついた蓋にはオーリングまで完備しているので、完全防水でもある。
今まで思いつかなかったけど、これは使える梱包材だなあ。ポスターなどを送るときは、もっと細くて短くても大丈夫。お勧めです。
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投稿者 corvo : 20:59

2007年12月30日

紙とキャンバス

今、描いている大画面は、久しぶりにキャンバスを支持体にしている。これまでの仕事は、紙に描くことが圧倒的に多かった。一番気に入っているのは、このblogでも度々紹介しているアルシュのホットプレス(極細目)だ。ロットリングで描いたり、透明水彩を使う場合は、もっぱらBBケント細目のイラストボードを使っている。
油彩を描いてきたとき以来のキャンバスであるが、これほどアクリル絵の具と相性が良いとは思わなかった。今回使っているのはクレサンジャパンA-Line Canvas「FD 麻・細目」である。スムーズな表面が好みなので、キャンバスも細目を選んでしまう。でも、実際描くときはテクスチャーも付けるし、ざらついた下地を必要とする場合もある。どちらにしても、最初がスムーズな表面であると応用が効かせやすいので、僕の描画には適している。
キャンバスの利点として、タッチの伸びやかさがある。どういうことかというと、適度に筆先が走ってくれるのである。これが紙だと吸い込み(吸湿性)が強すぎて、筆先が必要以上に引っかかってしまい、絵に伸びやかさがなくなってしまう。細かなタッチも、キャンバスのほうがごまかしがきくので、結果的に美しい仕上がりになる。紙の方が忠実に毛先の乱れまでも捉えてしまう。キャンバスの持つしなやかさが、手への負担も減らしているように感じる。
これから先、全ての仕事でキャンバスに移行していくかどうかは分からないが、大きな可能性を知ることが出来たので、色々試していきたいと思っている。ただ、紙よりもコストがかかるのが玉にきずである。
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投稿者 corvo : 01:18

2007年12月18日

Dick Blickでお買い物2

今回はアクリル絵の具を個人輸入。ゴールデンのアクリル絵の具はターナー色彩が代理店をしており、日本でも購入することができる。しかし、すべての品番が輸入されているわけではないので、カタログに載っていないものを中心に発注したのである。Dick Blickのサイトから注文したのが12月7日だったので、約10日で手元に届いたことになる。計画的に発注すれば、充分に仕事でも間に合うタイミングだ。
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海外の画材カタログや、メーカーのサイトを見ていると、未だ日本は極東の田舎であることを痛感する。あまりに輸入されていないアイテムが多すぎる。今回のように個人で輸入するという手段はあるが、現地で買うよりもずっと高い送料を負担しなくてはならず不利である。また、日本のメーカーが同じような種類のものを作っていない場合が多いので、結局自前でどうにかしなくてはならない。
でも、これで心置きなく大作を制作することができる。ちびた絵の具チューブと格闘するのは非効率的だし、精神衛生上もよろしくない。画材をみみっちく使うような仕事の仕方はしたくない。画面に向かってぎりぎりの攻防をくりかえすのだから、手札だけはきちんと揃えておきたいのである。

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投稿者 corvo : 02:24

2007年12月 5日

木枠到着

今日の午前10時前、ようやく木枠が到着した。
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梱包を解き、木枠を組み立てる。100x330cm。パネルと違い軽いので、扱うのはそれほど難しくない。一階にある妻の作業場を借りて、キャンバスを張るところまで済ませてしまう。ガンタッカーを使えば、一人でもそれほど難しい作業ではない。
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地下のスタジオにキャンバスをセッティング。ギリギリだ。これからここへ下絵を写していく。絵の内容を紹介出来ないのが残念。
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投稿者 corvo : 17:26

2007年11月20日

Dick Blickでお買い物

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これからの制作に備えて、紙をまとめ買いした。送料を負担しても、日本で買う半額程度になるので、アメリカからの通販を時々利用している。その店はここ。クレジットカード決済で買うことができる。半額になるのはこの紙の場合で、もちろん商品によって割引率はまちまちである。写真のような状態で運ばれてくる。大雑把ではあるけど、しっかりとした梱包。今のところ商品が傷んでいたことはない。
買ったのは「Aquarelle Arches / Hot press / 56 x 76cm / Natural White」。表面がスムーズで、強靭な紙である。水彩にもペン画にもアクリルにも、また鉛筆やチャコールペンシルにも適している。基本は水彩画用。
写真に一緒に写っているカタログが楽しい。日本の画材店ではお目にかかれないものまで、多数そろっている。見たこともない製品も数多い。便利グッズ系のものも多い。また、スタジオ用品も充実していて、絵を描く現場に必要なものはなんでも揃うだろう。こんな店が日本にもあればなあ。世界堂でも、ここまでは揃わない。
友人同士でまとめ買いをすると、送料を割り勘に出来てお得です。お勧めのネットショップです。
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投稿者 corvo : 20:16

2007年10月 3日

仕事でアクリル絵の具を使う事が多いのだけど、筆がとても痛みやすい。水洗いを頻繁にするのだけど、アクリルメディウムと顔料(染料)が筆の根元にたまってしまい、穂先が整わなくなってしまう。
そのため必然的に、ある程度使った筆は捨てざるをえない。なので、あまり高い筆を使う事ができないのである。油彩の場合だと、手入れさえ良ければ、かなり長い間使うことができる。高価な筆でも、元がとれる。しかし、アクリルではそんな高い筆を使い捨てるわけにはいかない。値段的に妥協せざるをえないのだけど、最近安価でものすごく使いやすい筆を見つけることができた。
株式会社中里が製造している、トールペイント用の筆だ。
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画材店に、まとめて頼んであった筆を引き取って来た。6種類の太さの筆を10本ずつ。
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筆先はこんな感じ。毛はナイロン製。アクリルでも、透明水彩でも、筆先が乱れる事がなく、細部の描写には欠かせない筆になっている。これまではイタチ毛の面相筆を使ってきたが、これからは全てこの筆に切り替えていく予定である。面相筆は細く長いストロークの線を引くのには良いのだけど、短いストロークのタッチを描くのには、少し苦労することが多かった。
これで多分、仕事の精度が上がる?はずである。
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投稿者 corvo : 22:41

2007年8月 3日

クレサンジャパン訪問ともろもろの出来事

少し遡って8月1日。かねてから友人から誘ってもらっていた、クレサンジャパンへの訪問が実現した日だった。クレサンとはベルギーのキャンバスメーカーで、非常に上質な商品を作り続けている老舗である。僕も学生のときには愛用していたキャンバスである。ここ最近は油彩を描くことが少なくなったので、ほとんど使っていないのだけど、いまでも思い出深い画材のひとつである。そんなこともあって、この日をとても楽しみにしていた。
しかし、ご存知の通り締め切りがいくつも重なる状況だったのだけど、なんとか間に合わすことができ、この日も納品を済ませてから慌ただしく出掛けたのであった。
今回の大きな目的のひとつは、最近クレサンジャパンが始めたサービス「マイキャンバス」を見せてもらうためである。キャンバス上にインクジェットプリントでイメージを定着させる技術で、写真であってもキャンバス地にプリントすることで、絵画のような雰囲気を持たせる事ができるものである。でも、僕がこの技法を利用するとすれば、あくまでも絵を描くためのベースとして使うということになるだろう。実際に用意していった画像をプリントしてもらったのだけど、驚くほど正確で緻密なものだった。
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これが実際にプリントしているところ。インクは顔料系ということである。ある程度時間がかかるのは仕方がないところだろう。
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これはカラーでプリントしてもらったもののディテール。キャンバスにプリントすることで、ある種絵画的な雰囲気を持ってしまっている。この上から油彩で加筆しようと思っていたのだけど、どうしようかと迷っているところ。
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キャンバスなので、簡単に巻く事ができる。こういった点は、紙よりもずっと扱いが楽である。モノクロのエスキースをプリントしておいて着彩をしたり、骨格をプリントした後から軟組織を復元していくなど、いろいろな応用が考えられると思う。
クレサンジャパンのサイトで紹介されているように、インテリアアートのためだけでは勿体ない技術であると思う。どういった利用法があるか、いろいろと考えていこうと思っている。
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この会社、ららぽーと横浜のすぐ側にあり、時間があればショッピングも楽しめる。これからたびたび訪れることになる予定。
この日は自宅に戻ったのが午後11時過ぎだったのだけど、それから科博ニュースのカットの仕事を無理無理して、なんとか2日納品に間に合わせたのだった。怒涛のような7月が過ぎ、8月しょっぱなもきつい締め切りに追われる、相変わらずの日々。

2日は午後から打ち合わせが2件。二日続けて暑い日。まだ詳しくは書けないが、大きな仕事が今年後半から入ってくる。絵本の制作と平行で進めていかなくてはならず、また秋はいくつかの学校で集中講義も頼まれていたり、SVPもあったりと、加速度的に忙しくなっていく気配が。なんとか乗り切ってみせます。

今日は今朝から生ゴミの片付け。カラスが喰い散らかしたらしい。暑いさなか、むせ返る悪臭を放つゴミをなんとか処理。ついでにチビクロのケージも掃除した。日に日に活発になり、ケージの外へ出たくてしょうがないそぶりを見せる。近日中にもう一度動物病院へ連れて行く予定。
明日は、ある草レースに出るための講習会に静岡まで行ってきます。草レースについても、近々どういったものか書きます。
明日は朝早いので、早く寝よう。
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投稿者 corvo : 23:17

2007年4月20日

大人の塗り絵

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巷では「大人の塗り絵」が大人気らしい。「大人の〜」と枕詞がつくと、淫靡な想像してしまう。全く関係ないのだけど、「大人の絵本」と「鶴光」でピンと来る人は、関西で10代の頃を過ごした同世代の人だろう。
まあ、そんなくだらない話は置いておいて、TAKESANさんのblog「Interdisciplinary」で「単に」塗る、って何?というエントリーで知ったのだけど、そのリンク先「ITmedia:単に「塗る」だけでは脳は活性化しない──三菱鉛筆が川島教授と検証」が興味深い。今の流行なのか、何が何でも「脳にいい」とか「脳が活性化」というところにつなげてしまいたいらしい。
僕自身は子供の時から塗り絵が嫌いで、ほとんどやったことがない。決まった形の面積を塗りつぶすという作業が、退屈でしょうがなかったのである。人の描いた絵に色をつけるのも気持ち悪かったし、自分で落書きをするほうがよほど楽しかった。大人の塗り絵とよばれるものは、名画をベースにしていたり、極めて写実的な線画に色をつけたりするもののようである。上手く描くには、それなりに熟達したテクニックと根気が必要だろう。丁寧に作業するには、細かな神経もつかうと思う。だからといってそれが脳に良い事かというと、どうにも分からない。
もちろん手先を動かすことが、良い刺激になることは確かなのかもしれないが、はたしてそれが「塗り絵」である必要があるのだろうか。プラモデルでも、バードカービングでも、ビーズ細工でも、テレビゲームでもいいのではないだろうか。視覚情報と触覚を利用して何かを表現したり、作ったりすることの中で、「塗り絵」だけが特別なものだとは思わない。正直なところ、商売として「塗り絵本」と「鉛筆」を売るためのセールストークにすぎないように思う。
TAKESANさんのblogへ書いたコメントを一部引用する。
「一枚の絵を描くプロセスというのは、けっこう膨大なものなのですが、ものすごく頭を使う段階と極めて作業的な部分とがあります。無心にひたすら手を動かすということも重要で、日々の訓練によって獲得した技術で作業を淡々とこなすという感じです。
復元画なんかを描いていると、ものすごく色々なことを考えたり想定しながら描かなくてはいけないことがあるのですが、そういった場合というのはとても筆が迷います。そうすると決して仕事の精度としては良くないです。何も考えずに作業に専念できる段階まで高めていければ、非常に素直に美しい線が引けたりします。なので、目の前にあるモチーフを描く時とは、まったく違った働きを脳がしているのかもしれません。」
どんな分野でもそうだと思うが、ある動作に熟練してくると、あまり神経を使わずに考えずに、自然とできるようになってくる。絵を描く行為にもそういったことがあって、あまり意識せずに行っていることは意外に多い。パレット上で色を混ぜる時なんてほとんど頭は使っていないだろう。極めて機械的に経験的に、絵の具の分量を量りながら、筆先やパレットナイフで混ぜていく。紙に対する筆圧なんてものも、いちいち頭で考えてはいないが、常に最適な圧力を画面に与える事が出来る。そんなところで迷いがあっては、描くことに専念することはできない。
絵を描く上で頭を使う時というのは、アイデアをひねり出したり、迷ったりした時で、スムーズに上手くいった作品ほど「脳」は活性化していないのかも。オートマチックにモチーフを捉えて描写出来た時は、えも言われぬ快楽があるのだけど、僕特有のものなのかな。複雑に描かれていると思われる作品であっても、僕は出来るだけシンプルな作業にに徹したいと常々思っている。出来れば、うんうん唸りながら頭を使って制作なんてしたくないのである。
なので、僕が絵を描いている時は、極めて「脳に良くない」状態なのかもしれない。
ITmediaのリンク先に、「12色の色鉛筆に加え、2H/H/F/2B/4Bといった5種類の鉛筆も加えた。「濃淡を付けて塗るには、上達すれば鉛筆1本でもできるが、入門者ではなかなか1本では描ききれない。濃さの違う鉛筆を用意することで入門者も濃淡を付けやすくした」(三菱鉛筆)。」というコメントがあるのだけど、個人的にはこの鉛筆のラインナップだと描きにくいだろうなあという感想である。2Hから4Bまでって、比較的幅が広い。なのに5種類である。僕が愛するHBとBがないのはなぜだろう。3Bもないや。4Bで描いた後に、2Hなんて使ったら、色が浮きまくりで苦労するだろう。極めて親和性の悪い組み合わせに思える。この両者の間には、全く違った色だと判断したほうがいいような違いがある(と個人的には思っている)。
うまく、まとまらないけど、わざわざ「塗り絵」でなくても、自分が楽しいと思えることをリラックスし、て行うのが良いのではないでしょうか。

投稿者 corvo : 01:31

2006年12月20日

ゴールデンフルイド説明会とシアター360

19日、20日の出来事を遡ってアップ。
前回のエントリーにも書いたが、19日は朝から都内へ「ゴールデンフルイド説明会」の講師をするために出かけた。ゴールデンはアクリル絵の具メーカーで、日本ではターナー色彩が代理店である。そのターナー色彩からの依頼で、説明会の講師として出席してきたのである。
今、「フルイド」という製品を中心に制作をしている。アメリカでは何年も前から存在していたらしいのだけど、日本には今年から正規輸入された粘性の低いアクリル絵の具である。アクリル絵の具は水溶性で、乾くと耐水性になる性質をもっているが、従来の物は伸びやかさに欠ける嫌いがあった。このフルイドはその性質を大きく改善したもので、非常に伸びやかに絵の具を塗ることが出来る。水彩的な表現をするのに適しているのだが、僕にとっては油彩に近い表現ができる点で貴重な材料である。
もともと油彩は厚い絵の具をごてごてと盛り上げるものではない。薄い透明の絵の具を何層にも塗り重ねて、深い色味を獲得していくこと、物の豊かな質感を再現することに主眼が置かれている技法である。
今回は、画材店向けの説明会だったのだけど、実際にこの絵の具を使ったワークショップも体験することができた。
こちらの講師はアーティストのshioriさん。僕なんかよりもずっとアクリル絵の具を深く理解しており、大変勉強になった。
画材店の人から聞いた話で興味深かったのは、一般のお客さんにとって「アクリル絵の具」というものがイメージしにくい存在なのだということである。「水彩」や「油彩」は馴染みがあるのだけど「アクリル」になると、とたんにどんな物だか分からなくなってしまうらしい。その説明に苦慮するのだという話をされていた。
でも、今ペンキなどの塗料はアクリルの物がほとんどだし、アクリル樹脂でできたクリアケースなど、僕たちの日常生活の中にあふれている素材でもある。それが絵の具となると、きちんと理解されていないということだ。
また、アクリル絵の具の日本でのシェアはリキテックスが圧倒的で、アクリル絵の具=リキテックスといっても過言ではない。絆創膏=バンドエイドのようなものである。笑い話で「リキテックスのゴールデン絵の具をください」というお客さんが実際にいるらしい。
いろいろな情報交換も出来て、楽しく勉強になったひと時だった。
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説明会のお土産。このマグカップ、書いてあることが面白い。その名も「Effective MUG (効き目のあるマグー信じるものは救われる、アーティスト用)」。
---
使い方
1.飲みたいものを選んで注ぐ。(とりあえず、では効果なし)
2.味わって飲む。(今の気分を考えながら)
3.使用後は、「違いのわかるゴールデン」と唱えながら速やかに洗う。
使用上の注意
・軽い気持ちで他人に貸さないこと。
・一日の大半をティータイムにしないこと。
.描きたくなったら、衝動に逆らわないこと。
---

20日は朝から夕方まで集中して制作したあと、国立科学博物館での「シアター360」の内覧会に参加してきた。
このシアターは昨年の愛地球博の日本館に設営されていたもので、球体の内側に映像を映して、その中心のブリッジから観賞するというものである。全てをCGで作っているので、解像度の問題などはあるが、これまでに経験したことがない感覚を味わうことが出来る。手すりにつかまらずに、視線を動かしていると足下がぐらぐらする感覚に襲われる。
科博に行く機会があったら、是非体験してみることをお勧めします。
まだ、色々と書きたいこともあったのだけど、今日はここまで。
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投稿者 corvo : 22:19

2006年10月26日

ゴールデン社講演会

木曜日に遡っての日記。
昼前からら夜まで出ずっぱりの日だった。まず代官山へ、デザイナーズブランドの展示会へ行く。およそ僕には場違いな場所なのだけど、大丸の恐竜展をきっかけに知り合うことになった、シルバーアクセサリーのデザイナーに会うためである。ブランド名はZOCALO
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これは前回の展示会にお邪魔したときにいただいたもの。サーベルタイガーをモチーフにしたペンダントトップ。かなりの大きさと重量があり、家ではもっぱら置物となっているが、良く手にとってその重厚感とフォルムの良さを楽しんでいる。
ちょうどランチタイムだったので、タイミング良くお昼をご一緒することができた。

すぐに上野へ行かなくてはならなかったので、1時前には代官山を後にした。
午後2時から、東京芸大で開かれる講演会「アクリル絵の具で描かれた現代絵画の修復」を聞きにいくためである。
僕はゴールデン社のアクリル絵の具を中心に使っているので、非常に興味を持っていたのだけど、講師のゴールデン社会長のマーク・ゴールデン氏から直接、話を聞くことが出来た。アクリル絵の具は極めて複雑な構成で作られている。その全てを理解することは難しいし、メーカーごとに成分の企業秘密があるのだろう。こういった場で、話を聞けることは貴重である。しかし、残念ながら僕にはアクリル絵の具の基本的な知識が不足している。しかも、帰国後の疲れから半分ぐらい落ちてしまっったのは残念だった。
配布されたレジュメを読んで、勉強しなくては。
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久しぶりの芸大。僕が学生だったときにはなかったアートショップが出来ている。独立行政法人化の影響だろうか。学生や卒業生、先生方の作品も扱っている。
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講演会終了後、マーク・ゴールデン氏を含めた懇親会が開かれた。数名のこじんまりとした集まりで、場所は上野聚楽第。ここに入るのはもう十数年ぶりだろうか。しかも2回目か3回目。上野駅はすっかり様変わりしてしまったが、昔の上野の雰囲気を良く残している一角である。
右下の写真の左側がマーク・ゴールデン氏、右側がアーティストのPhillip M. Garrett氏。ゴールデンの正規代理店であるターナー社の方ともお話し出来て、大変楽しい一時でした。

帰りに上海バールで、四川担々麺を食べて帰宅。山椒がぴりりと効いていて美味い。この後、帰ってから家で仕事。制作の模様は次のエントリーで。
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投稿者 corvo : 23:32

2006年6月 4日

COREL painter Ⅸ.5 premium

もともと懸賞などの当たりには縁がないのだけど、なぜだか商品モニターに当選することがある。以前は、カメラ雑誌でカメラのモニターになってレポートを提出したことがあった。高額な商品でもあり、僕としては非常に嬉しく助かる体験だった。
今回、雑誌Mac Fanのモニター募集に応募したところ、なんと「COREL painter Ⅸ.5 premium」が当たってしまったのである。すっかり応募したことも忘れていて、5月31日の宅急便で気がつくという抜け作さ加減。よくよくMac Fanの最新号を見ると、ちゃんと名前が掲載されていた。
タブレットを買ったこともあって、本格的にデジタルを始めようと思っていた矢先だったので、実にタイムリーでラッキーな出来事であった。
そこで意味もなく、パッケージ御開帳の連続写真を。
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インストールは無事終了。でも、まだ試し描きはしていないのだけどね。さて、これでデジタルアーティストとしてのデビューも近い・・・・・・かな。
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投稿者 corvo : 23:55

2006年5月 9日

タブレット

昨日は少しのんびりしながら、部屋の片付けをしながら過ごした。資料の整理もしたいのだけど、相当な時間が必要なため、仕事をしやすいようにざっと机の上を片付けた。先月末にタブレットを買ったのだけど、机の上が酷いことになっていて、置くスペースが確保できなかったのである。これまでデジタルでの描画はやってみたことがなかったのだけど、店のデモ機などを触ってみて俄然興味が出て来た。ちょこちょこと落書きを楽しんでいる。
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そのうち下手なデジタル画でもアップします。
タブレットを使い始めると、どうしてもモニターの小ささが気になってくる。今は17インチの液晶モニターなので、フォトショップなどを立ち上げると、画像の上にぱらぱらとパレットが重なってしまう。これ欲しいなあ。
この新しい画材を、まずは使いこなせるようにならないと。
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投稿者 corvo : 16:47

2006年4月24日

GOLDEN ACRYLICS 05

ようやく、ポスター原画が完成。まだ全体を公開できないので、部分の画像をアップ。今回は新しい絵の具や技法を試していたので、結構苦戦してしまった。時間がないときに限って、いろいろ試してみたくなり遠回りをしてしまう。それでも、多くの収穫があっtので、これからの制作に生かせるだろう。
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手前の木の陰にはディロフォサウルスと、襲われて絶命したルーフェンゴサウルス。これらはジュラ紀前期の恐竜たち。開けた大地を悠々と歩く竜脚類は、ジュラ紀中期である。ポスターということで、展示標本を分かりやすく表現するために、フィクションがはいっている。
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ディロフォサウルスの頭部のアップ。少しテクスチャーをつけすぎたか。ディテールを描きにくくなってしまった。途中でヤスリをかけるなどの手順を加えたほうが良かったかもしれない。
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今回、もっとも苦労したのは、首を高く上げた竜脚類。描きにくい。間違っていると分かっていながら、描かざるをえないストレスは予想以上に大きかった。不自然なものを描こうとすると、脳が拒絶反応を起こすのである。常に「間違っているぞ」という警笛が鳴り響き、それを無理矢理押さえ込みながら作業することになってしまう。必要以上のエネルギーがいるため、疲労の度合いも大きくなる。間違った(と思える)復元では、もう二度と描きたくない。

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今日は筆を大量に購入。ナムラのイタチ製面相筆、小と特小を20本ずつ。買うときはまとめ買い。どうしても消耗品なので、まとまった数が手元にないと不安になる。ちょっと気持ちいい。

昨日のサンマリノGPはいいレースだった。最速だったのはルノーのアロンソ。しかし、もっとも強く、勝ったのはフェラーリのシューマッハであった。ひとつ不可解なのは、アロンソの二回目のピットインのタイミング。シューマッハに対して1秒以上のペースで周回を重ね、さらに燃料も多く積んでいたはず。後、数周我慢してシューマッハの後にピットインすれば、十分に逆転可能だっただろう。「たられば」は禁句だが、ブリアトーレの判断ミスか!?しかし、20周以上にわたる超接近戦は見応えがあった。やはりイモラは抜けない。
もっと不可解だったのは、ホンダのバトンとバリチェロの成績。予選で2位3位を獲得しながらバトンが7位、バリチェロはノーポイントの10位でしかなかった。バトンは燃料給油のリグをつけたまま走り出し、かなりの時間をロス。原因はドライバーでなく、ピットクルーにあったのだけど、チームとしてのまとまりに疑問がある。相変わらず、チーム戦略を生かすピット作業が出来ず、ばたばたと時間だけがすぎていくという印象だ。これでは優勝はまだまだ先だろう。
とにもかくにも、最高にエキサイティングなレースであったことは間違いない。こういったレースこそ、現場で見たいものである。

このblogの常連さんである「ニヤゾフさん」のコメントに、実はとても感動した。
「余談ですけど、さっきログを読みふけっていたときの事。

去年の7月から僕コメントを書かせてもらっていますが、初期のイタくて幼い書き込みから、一年ぐらいコメントし続けて、ようやくマシな書き込みができるようになっていた事に気付いたんです。

やはりいつもいつも短い書き込みにもレスをしてくれた小田さんのおかげです。」
とのこと。必ず、全てのコメントにレスをつけることを、自分の中で決めていたのだけど、ここまで言ってくれることに素直に嬉しかったのである。彼は、以前のコメントで小学生であることを明かしているのだけど、いつもそのコメントの誠実さに感心する。これからも読みにきてください。
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投稿者 corvo : 23:54

2006年4月23日

GOLDEN ACRYLICS 04

昨日、土曜日は「恐竜の科学展」の準備と、ポスター原画の制作に追われる。とにかく時間がない。やるべきことが多すぎて、すこし混乱しながらもなんとか進める。出品作の選定、出品リストの作成など、細々とした作業が多い。集中する時間が細切れで、原画の制作もなかなか進まない。
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といっても締め切りは迫ってくるので、とにかく描く。これは昨日の深夜の状態。これまで閉じていたディロフォサウルスの口を開けるために、大きく修正。これで画面全体にリズムが出来てきた。
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少しアップ。修正直後で、口のまわりの描き込みはまだ不十分である。
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首のまわりのテクスチャー。大きく凸凹がついているが、ここももっと描き込んでいく。
前回、ホワイトについて書いたところ、ターナーの方からホワイトの試供品とともに、アドバイスをいただいた。隠蔽力の弱いジンクホワイトか、アクリルガッシュのミキシングホワイトを使用してみてはどうかということである。ジンクホワイトは以前から使っていたのだけど、ミキシングホワイトを使うのは今回が初めて。チタニウムとジンクの中間の性質を持ったホワイトのようだ。色のコントロールがしやすい。これでもう少し練りに硬さがあるとベストかもしれない。すこしレギュラーゲルを混ぜて絵の具にボディをあたえてやると具合が良い。
月曜日には完成の予定。なんとか仕上げないと。
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投稿者 corvo : 23:44

2006年4月20日

GOLDEN ACRYLICS 03

今日も新しいアクリル絵の具での試行錯誤が続く。試せる要素が多いので、技法の幅も広がり面白いのだけど、確信が持てない部分も多く、ちょっと進み具合がよくない。もう少し、スピードを上げていきたいところ。
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透明色を重ねていった部分と、白で隠蔽していった部分が、どうもアンバランスである。
常々、感じていることなのだけど、チタニウムホワイトはとてもコントロールが難しい。きわめて着色力の強い白で、少量でも他の色彩に大きな影響を与えてしまう。油彩の場合はシルバーホワイトを多用するのだけど、こちらはとても使いやすい。適度な着色力と、隠蔽力があり、様々な応用がきく。ただし、顔料に鉛白を使っているため、人体に有害な絵の具でもある。シルバーホワイトは白の中でももっとも歴史が古く、かつては化粧の白粉(おしろい)にも使われていた。
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画面のテクスッチャーがよくわかるカット。けっこう凸凹している。細密に描くには不利だが、思わぬ効果が出ることもあり楽しい。
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そろそろディテールも詰めていきたい。もっと完成度を上げていかないと。週末には納品したいのだが、時間がない。今の状況だと週明けにずれ込んでしまいそう。きついです。
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投稿者 corvo : 23:37

2006年4月19日

GOLDEN ACRYLICS 02

昨日から、サンプルでいただいたGOLDEN FLUID ACRYLICSを試している。従来のアクリル絵の具に比べて、粘度が低く伸びが良いのが特徴である。実際、パレット上に並べてみると、粘度が大きく違うことがよくわかる。
ちなみに、GOLDENはアメリカで開発された絵の具で、日本ではターナーが輸入販売を行っている。
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左がFLUID ACRYLICSで、右が従来のアクリル絵の具(これはGOLDENではありません)。まるで下痢xxxと健康なxxxとか言わないように。柔らかいといっても水に溶いた絵の具のように流れることはなく、適度な粘性を持っている。容器も従来のチューブではなく化粧品の瓶のようだが、適度に絵の具を出すことが出来て試行錯誤の後が伺える。

この絵の具を使って、ある恐竜展のポスター原画を制作しているので、そのプロセスとともに紹介していきたい。
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支持体はパネルに水張りしたアルシュ(極細目)。鉛筆で描いたエスキースをトレースし転写した後、カラーインクで線描を起こしイエローオーカを全てに塗ったところ。さらにその上からテクスチャーをつけるために、レギュラーゲル(セミグロス)とグレージングリキッドを混合した物を、画面に置いていく(絵の具を置くという表現は、油絵などの場合よく使います)。透き通るので下地のイエローオーカには影響なく、画面に凸凹をつけることができる。
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この写真で、どれぐらいの凸凹がついているか分かってもらえると思う。変化を付けるため、豚毛の硬い筆で色々な方向にタッチを入れている。
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部分的にテクスチャーをつけた後、セルリアンブルーディープで画面全体を塗る。このときにも、非常に均質に絵の具が伸びてくれるのを実感する。通常のアクリル絵の具では、なかなかここまで綺麗に塗ることは難しい。
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後ろに見えるのが、エスキースの鉛筆デッサン。テクスチャーをつけた部分と紙の部分で、吸湿性に差があるため、絵の具のしみ込み方による色の変化がある。これは想定していたことなので、気にせず次へ進む。また、この画面の不均質さが面白さへとつながっていく。
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ディロフォサウルスの頭部を描き込む。画面にテクスチャーがあるため、皮膚の凸凹した感じを表現しやすい。こういった下地は繊細な描き込みにはむかないが、生物の生き生きした感じを、偶発的なテクスチャーと相まって再現できることがある。
この絵の具を使ってみるまでは、粘度の低さから透明水彩のようなものをイメージしていたのだけど、これはまったく違う物であった。むしろ、油彩に近い。それも樹脂油を多く使う、古典技法に近いものだと感じている。油彩の古典技法は透明色を重ねていくことで絵を完成させていくのだが、濁りが少なく、透明感のあるFULUID ACRYLICSは、古典的な繊細な描写に向いているのではないだろうか。今回、初めて使った色にQuinacridone Goldという色があるのだが、これはパレットに出した瞬間、ちょっと興奮するほどに新鮮な驚きがあった。油彩で使うコパール樹脂で溶かれた茶系の絵の具のように、輝いて見えたからだ。薄く伸ばしても美しい発色をする、赤みを帯びた褐色(正確には違うかもしれないが)の絵の具である。他には代用の利かない貴重な色彩であると思う。
また、FULUID ACRYLICSは乾燥すると通常のものよりも硬く、乾燥も速い傾向があるようだ。これはもう少し、使ってみないと確実なことはいえないが、乾燥したアクリル絵の具のぶよぶよとしたビニールのような感じよりも、硬質で僕は好きである。
まだ一日しか使ってないが、雑感としてはこんな感じである。
これからも、制作のプロセスとともに、レポートしていきます。
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投稿者 corvo : 10:18

2006年4月13日

GOLDEN ACRYLICS

mixiが縁で知り合いになった絵の具メーカーの研究開発室の方から、アクリル絵の具の試供品を送っていただくことになった。昨日、着いたばかりで、まだ試していないのだけど、これまでのアクリル絵の具に比べて低粘度であることが魅力の新製品である。アクリル絵の具は、水で溶いて薄めることが出来、乾くと耐水性になるというきわめて便利な材料なのだけど、薄く溶いたときの絵の具の伸びやかさという点で、油彩にくらべると劣っている部分があった。それらの欠点を補った、伸びの良い絵の具ということで、使う前から期待が高まっている。
ゴールデンというアクリル絵の具は、リキテックスに比べると知名度は低いかもしれないが、同じアメリカ製で良質なアクリル絵の具のひとつである。けっこう気に入っていて、数年前から使用している。
リキテックスやアクリラ(ホルベイン)に比べて、メディウムの種類も豊富で、けっこうテクスチャーで遊べるところも面白い。
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これが届いた、ゴールデンの新製品。低粘度ということで、チューブではなくカラーインクのような容器に入っている、
これから、この絵の具を使用した作例もアップしていく予定である。
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そろそろ順位が上がればなと思っていますので、応援よろしくお願いいたします。

投稿者 corvo : 00:00

2005年12月 9日

銀筆ーsilver point

「お結び展」のための作品が一点完成。
しばらくぶりに銀筆での制作。銀筆とは鉛筆が発明される前に一般的であった描画道具である。黒鉛の芯のかわりに、純銀の芯を使うと思ってもらえればよい。ルネッサンスの時代、多くの芸術家が銀筆によるデッサンを残している。
鉛筆と違うのは、下地を塗った支持体を必要とすることだ。どんな紙や板にも描けるわけではない。
アクリル絵の具のジェッソや、炭酸カルシウムを基調とした白亜地などが適している。皆さんは銀の指輪をしていて、漆喰の壁に手をついたり触れた時に、黒く線が残ったりした経験はないだろうか。銀筆で描くことと同じ原理である。
僕は専用の用紙をイタリアのゼッキから個人輸入している。銀筆もここで手に入るのだけど、銀線と呼ばれる純銀製の針金を貴金属屋から入手してもよい。これをステッドラーの芯ホルダーに入れて使用している。
銀は柔らかく、描画していると先が丸くなってくる。そこで先をとがらせるために紙ヤスリや、オイルストーンを使って先端をとがらせる。
銀筆の魅力のひとつは、鉛筆では描けないほど細い線が引けることだ。常にとがらせておけば、微細な線描を重ねることができる。鉛筆と違い黒鉛の粉でこすれることがないので、極めてシャープな描写が可能だ。ただし、消しゴムで消して修正することはできない。描写は全て一発勝負である。どうしても消したい場合は、下地ごと紙ヤスリで削り取るしかない。
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モチーフは人の頭蓋骨。セッティングしたところ。クリーム色のものが、銀筆用紙。
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これは線香花火を遊んでいるところではなく、硫黄水を作っている。銀は硫黄に触れると、黒く変化するため硫黄水を使って、描線に変化をつけることができる。これは日本画のテクニックでもあり、銀箔に表情をつけるときに使うらしい。「焼く」と呼ばれる技法である。
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面相筆を使って、描線を焼いているところ。陰影を意識しながら、変化をつけている。
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完成した画面。サイズは150x105mmの小品。素材は他にアクリル、透明水彩を使用している。
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ディテール。
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もうひとつディテール。歯の部分をアクリルと透明水彩で描いている。
銀筆はさらに時間を経るごとに、味わいを増していく。好きな素材のひとつだ。
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投稿者 corvo : 01:54

2005年6月26日

切り貼り

切り貼りは楽しい。
デジタルに習熟した方は、なぜデジタルでやらないのかと思うだろう。
うちにはそれなりにパワーのあるパソコン(ノート、デスクトップあわせて3台)があり、スキャナ(2台)もあり、アドビの画像処理ソフトもインストールしてある。(使いこなせるかどうかは別の問題。使いこなせていない自信は大いにある)
仮に使いこなせていたとしても、手で切り貼りをしているだろう。
それはまだまだ手作業の方が早いのである。デジタルは結構面倒くさい。
スキャナで取り込み、イメージを切り抜くところまでやってしまえば、あとは圧倒的にデジタルに分があるのだと思うが、その準備段階までの行程を想像するとぞっとする。(それでも早い達人はいるのだろうが)
アパトサウルスの場合、椎骨(首から尾までを含む脊椎の骨)だけでもおよそ100個以上。
紙の手触りを感じながら、デザインナイフで各骨格の大きさを実感する。少々荒く切り抜いても、手作業でごまかせる。
出来てくるものを実体として触れることが嬉しい。
これから先デジタルに依存する部分は増えていくと思うが、思索、習作の基本はこれからも手作業なのだと思う。

投稿者 corvo : 01:33