« ひょうご恐竜化石国際シンポジウム2日目 丹波竜の復元プロセス1 | メイン | ササヤマミロス・カワイイ復元画の制作プロセス »
2013年3月24日
ひょうご恐竜化石国際シンポジウム2日目 丹波竜の復元プロセス2
var _gaq = _gaq || [];
_gaq.push(['_setAccount', 'UA-22553938-1']);
_gaq.push(['_trackPageview']);
(function() {
var ga = document.createElement('script'); ga.type = 'text/javascript'; ga.async = true;
ga.src = ('https:' == document.location.protocol ? 'https://ssl' : 'http://www') + '.google-analytics.com/ga.js';
var s = document.getElementsByTagName('script')[0]; s.parentNode.insertBefore(ga, s);
})();
前回からの続き。
比率を計算して四肢の長さを導き出し、その数値に合わせて描いた前後肢。関節の間が大きく開いているのは、ポーズをつけるときの自由度を高めるためである。
骨盤とその他の部位の関係と比率のよく分かる図版。監修の三枝さんがコラージュして制作したものだが、このときはまだ胴椎や肋骨は修正出来ていない。
この胴椎、仙椎も修正前。尾椎の大きさを縮尺にあわせたところ、どうしても神経棘突起の高さが合わなくなり、全ての胴椎、仙椎、肋骨、骨盤を描き直すことになったのである。四肢の長さ、全体のプロポーションはあっている。
胸骨の位置、肩甲骨の角度について検討している。肩甲骨は体幹のどこにも関節していないため、常にどの角度になるかが問題となる。寝かせるのか、立てるのか、その中間なのか。今回はかなり垂直に近いところまで経たせている。その理由は肩甲骨側に上腕骨を受ける大きな関節面があり、垂直近くまで立たせないと、この関節面に大きな荷重をかけることができない。肩甲骨と烏口骨の間には癒合していない関節面があり、この間に上腕骨の加重がかかるような構造にしようとすると、非常に脆弱になってしまう可能性が高い。
非常に細かな修正指示。こういった積み重ねから、丹波竜の骨格図は作られている。
そして、これが完成した丹波竜の骨格図。現在、もっとも学術的に正確なもので、監修者がどうしてこうなったかを、全て説明することができるものとなっている。
茶色く塗られている部位は実際に化石として見つかっているもの。黄色く塗られている部位は化石として出ているが、どこの位置か不確定なものである。
この時点で全てのパーツがそろったと思っていたのだけど、この後、3枚が没になってしまった。1枚はB3サイズ。
大きさもあるため、仕事量のボリュームも大きい。
制作中の机の上はずっとこんな状態だった。
この骨格図を元に生体復元図の制作に移行していく。
出来上がった骨格図をトレースして、それを元に肉付けをしてく。まず、筋肉をつけ、その後から皮膚をかぶせていく。
モノクロの生体復元図が完成。これをさらにトレースして、別のイラストレーションボードにアウトラインを転写していく。
サイズはB2。カラーインクとアクリルで彩色していく。
モノクロスケッチを目の前に置きながら。
背景は白バックにするので、アウトラインを決めながらをホワイトを置いていく。
完成。B2サイズ。BBケント細目イラストレーションボード。カラーインク、アクリル。
ディテール。この後肢のツメ、サイエンスカフェでも問題になった部分で、徳川君の模型と僕の旧復元画では4本になっている。足跡や、同系統の恐竜から4本ツメのものが見つかっていることから、採用したということだったが、現時点では3本が無難なところである。ただし、後肢が全く見つかっていない丹波竜で、確実なことは分からない。
今回の復元は日本国内としては極めて優れた保存状態の標本をもとにしているが、出ていない部位も多い。ほぼ全身骨格が見つかっている、ティラノサウルスやアパトサウルスを復元するのとは全く違ったアプローチが必要になる。しかし、監修者の三枝さんの常に科学的であろうとする姿勢には、大いに助けられた。その妥協のない的確な修正指示に応えていくのは、非常に大変なことではあったけど、改めて自分自身の復元を見つめ直すことにも繋がった。
これほど幸運な仕事が出来ることはそうそうないことである。
このプロジェクトはまだまだ続くので、乞う御期待!
--
twitter
投稿者 corvo : 2013年3月24日 23:52