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2013年1月21日
総合大学に芸術学部を。
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僕は研究者と仕事をする事が多い。古生物の復元画制作のように、彼らが頭の中で描いているビジョンを、全てではないが具体的にビジュアル化する作業を主に行っている。何度もやり取りをしながらイメージを具体化していくプロセスは、本当に興奮するし(時には大きなストレスもかかるが)、完成したときは大きな達成感を得ることができる。
昨年末にかかりきりだった丹波竜の骨格図の制作では、往復45通にわたるメールの記録が残っている。
今日も一件、研究者からの発注で打ち合わせをしたのだけど、どうして日本の総合大学にが芸術学部がないのか?という質問を受けたのである。アメリカの総合大学には芸術学部があるのに、日本にはなぜないのか。現在、彼が所属している研究機関でもアーティストやデザイナーがいないことで、研究内容を分かりやすくプレゼンテーションしたり、論文に掲載するイラストレーションを発注したりすることがスムーズに出来ず、僕のようなところに助けを求めてくることが現実となっている。
僕としては嬉しいことだが、もっと効率の良い上手い仕組みが作れないだろうか。
現状、博物館や研究機関が誰か専属の人間を雇うことは現実的ではないだろう。一人のアーティストやデザイナーが、ビジュアル表現に関する全てのスキルを持っているわけではない。研究が細分化されているように、イラストレーターとデザイナーを比べてみても、その仕事の内容は全く別物だ。
もっとも現実的な形態は、それぞれのプロジェクトに適した人材を集めて、終了したら解散といったものだろう。僕らはチームを組んで仕事をすることに慣れているし、それぞれの分野で最大のパフォーマンスを引き出す可能性が高くなるだろう。専属で一人雇ってしまうと、その人間が得意でないことまで頼むことになり、非効率きわまりない。餅は餅屋。
一番の問題は、今の日本の美術系大学に、サイエンティフィックイラストレーションを教えているところがなく、その教鞭をとる人材も全く不足していることだ。僕自身もサイエンティフィックイラストレーションが専門とはいえない。要するに必要とされる人材を供給できる道筋がないのである。
そこで、以前から思っている、東京大学の中に東京藝術大学を芸術学部として組み入れるという案だ。総合大学に芸術学部がないというのは、大学として大きな欠点ではないだろうか。
芸大にも美術解剖学の授業があり、東大医学部から非常勤の先生も来られていたが、東大の医学部の学生と同じに授業を受けるようなカリキュラムはなかった(まったくついていけなかったと思うが)。また医学部生が芸大でスケッチを学ぶようなカリキュラムもない。
これが同じ学内であれば、もっと連携してカリキュラムを組むことも可能になるだろう。ただし、美術大学に行くにも学科の比重が大きくなる。かつての僕には無理だ。でも、もっと努力した可能性はある。多分。
美術大学が今の地位に甘んじている限り、いつまでたってもクリエイターの地位は高くならない。
まっとうな大学とは見てもらえない。
東京大学の芸術学部となる、その先鞭を東京藝術大学には是非ともつけてもらいたいものである。
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投稿者 corvo : 2013年1月21日 23:42