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2012年11月 7日

小田隆・平野果林 二人展始まりました。


11月5日からスタートしました。10日までと短い期間ですが、御高覧いただければ幸いです。
パノラマでも会場内の風景をご覧いただけます。

2012年11月5日(月)〜11月10日(土)
11:00〜19:00 (最終日17:00まで)
【企画】ギャルリー志門 【主催】「ドローイングとは何か」展開催実行委員会
ギャルリー志門
〒104-0061
東京都中央区銀座6-13-7 新保ビル3F
Tel : 03-3541-2511 Fax : 03-3541-2512

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食肉目の壁。
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偶蹄目の壁。
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受賞作。
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会場風景。
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平野果林さんの作品。

展覧会ステートメント
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The unknown skull と SKULLシリーズについて

 頭骨のシリーズを描き始めたのは2001年、最初のモチーフはヒトの頭骨だった。この一連のシリーズには「The unknown skull」というタイトルをつけ、これまでも制作を続けている。タイトルに込めた意味は、誰のものかは分からない頭骨だが、確かにこの世に存在した人間の証として敬意を表するためである。
 動物の頭骨をモチーフにしたSKULLシリーズの制作を始めたのは、その少し後のことだ。恐竜を代表とする古生物の復元画を描く仕事を数多くしている関係から、自然史博物館へ出入りする機会も多く、ヒト以外の動物の頭骨や骨格も身近な存在であった。動物は哺乳類だけに限定しても、様々な形態的な特徴を見せてくれる。角を持つもの、鋭い歯を持つもの、前後に長いもの、短いもの、幅の広いもの、狭いものなど。ヒトの頭骨もそれぞれに個性があり、男女の性別、年齢はもちろん、十人十色の特徴がある。まさにその生き様を垣間見せてくれるように。

 頭骨はある生物が残した遺体の一部ではあるが、私はその中に強い『生』を感じる。我々、脊椎動物は内骨格なくして、生存し生活することはできない。生きているとき、その骨格の存在を意識することは少ないと思うが、確かに我々の『生』を支えてくれている重要な器官のひとつである。
 頭骨を描くとき、筋肉の付着部、神経や血管の通る穴、眼窩、鼻腔、それぞれの解剖学的特徴を想像しながら進めていく。常に生きている姿を思い描きながら、頭骨に対峙していると言っても過言ではない。
 以前にも書いたが、私にとって頭骨や骨格は死の象徴ではない。強い生命力を感じさせてくれる存在だ。
 私は頭骨のモチーフを静物として扱うことはない。生ある存在として描くため、生きていた姿勢に近い形で頭骨をセッティングする。ただ、これまでは机や台の上に置くだけだったので、少し顎が上がった姿勢になってしまっていて不自然さもあったが、新作の“Wild boar skull”では少し吻部を下げた自然な姿勢になっている。鼻の種子骨、頸椎もあることから、より生体をイメージしやすくなっていると思う。
 ただし、哺乳類の頭骨は多くの表情筋に覆われているため、生きている姿と頭骨の形態が、知識のない人にとっては結びつきにくいかもしれない。肉を取り去った頭骨は驚くほど小さく感じることがあるし、ゾウの鼻や、マッコウクジラの脳油の詰まった頭など、生きた姿を知らなければ、到底、想像することの出来ない哺乳類も数多くいる。一方、爬虫類や鳥類は表情筋がほとんどないため、頭骨の特徴がそのまま頭部の形態に表れ、それほど違和感を感じることがない。
 
 骨は機能美にあふれた美しい姿をしている。しかし、全ての人にとって美しいモチーフではないことも、重々承知している。それでも私はこれからも、ヒトや様々な動物の頭骨や骨を描き続けていくだろう。
 どれだけ描き尽くせるかは分からない。出会いのチャンスもあるだろう。その生物が確かに生きていた証を、死してなお輝く生命の息吹を、画面に残していきたいと思っている。

 私の作品から、骨の持つ強い生命力を感じていただけたら幸いです。


2012年11月5日  小田 隆


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投稿者 corvo : 2012年11月 7日 11:13