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2012年6月 1日
『ボストン美術館・日本美術の至宝』展
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午前中に行きつけの車屋にRSを車検に出して、その足で電車に乗って上野に向かう。
『ボストン美術館・日本美術の至宝』展 を鑑賞するためである。
午後1時過ぎで、入場待ち時間は20分。思っていたより空いている。ただし、会場に入っているみるとかなりの混雑だった。
今回、最も驚いたのは、作品群の保存状態の良さと、その修復技術の高さである。もともと掛け軸であったものを額装してしまうのは西洋的発想だと思うが、取り回しの良さと画面を傷めないためには最善であろう。
ボストン美術館はコレクションをするだけでなく、岡倉天心が設立した東洋絵画修復室を擁し、常勤職員が日々修復作業にあたっている。どれほどの予算で運営されているのだろうか。
前半の展示で楽しかったのは『吉備大臣入唐絵巻』。「遣唐使・吉備真備の活躍をユーモアを交えつつ活き活きと描いた」とあるが、ファンタジー冒険漫画といってよいほどの内容だった。実話をもとにしているのに荒唐無稽なエピソードの数々がほほ笑ましい。唐から出される無理難題を吉備真備が解決していき、最後には日本へ数々の文化や学問をもたらすという筋書きなのだけど、その解決方法がほとんどイカサマだったりズルなのがおかしい。
試験問題を盗み聞きする真備の表情は、いたずらっこのようなユーモラスなものだし、最大の危機は「超能力」で乗り切ってしまう。空も飛べるし、飲み込んだ碁石を身体の中にとどめておくこともできる。後者はただイカサマのために使われた超能力なのだけど。
そんなスピーディな展開の絵巻物を、まんじりとも動かない列で見なくてはいけないのは辛かった。絵巻物になると途端に流れが悪くなる。漫画を読むようなリズムで見た方が楽しいと思うのだけどな。
後半の目玉はなんといっても、曽我蕭白。特に若い頃のものが多く、初めて見る作品も多かった。これらの保存状態も素晴らしく、昨日今日、描いたばかりのような輝きがある。実は『雲龍図』を日本で見ることが出来るようになるとは夢にも思っていなかった。いくつか抜けている襖があるが、一つの画面として強度を保っている構成は見事である。短時間で一気に仕上げたのだと思うが、力強いだけでなく、抜いたタッチも混じり合っていて、空間、立体感に豊かさを与えている。思った以上にコンパクトな作品であったのは意外だった。現代に同じ画題で表現するなら、もっと大きな画面を想定するだろう。
着彩された『鷹図』は繊細で素晴らしい作品。たたまれた翼の構造も正確に描かれ、同時代の応挙に比べてもリアリティを感じる。
混雑はあったが、会場に4時間以上滞在して、大満足な一日だった。ただ、予定していた他の美術展へのハシゴが出来なかったのは残念だった。
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投稿者 corvo : 2012年6月 1日 23:24