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2012年4月 1日
最新の研究から分かる新しい始祖鳥の生態
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長いタイトルになってしまった。学術的な話題を書こうと思うと、ついつい一つの文が長くなり、勢いタイトルも長くなってしまうものである。
以前から時々参加させてもらっている若手研究者による勉強会があるのだが、つい先日、地味ではあるが衝撃的な研究成果を見ることが出来た。将来有望なその若手研究者は、鳥類の脳の形態から推察される生態との相関関係を研究しており、絶滅した化石種にも応用できるのではないかという発表だった。
数多くのデータで裏打ちされたその研究成果を、専門ではない僕が全て理解できるわけではもちろん無いのだが、「始祖鳥は水鳥だった」という一言は衝撃的だった。あ、言い切ってはいけないか。「水鳥だった可能性がある」と言い直すべきだった。その根拠となるのは、現代の水鳥の脳の形態と、始祖鳥の脳の形態が近いという結果である。残念ながら細部まで理解することは、僕には出来なかった。なのでこの場で質問されても答えることは出来ない。
始祖鳥頭骨とその脳の透視図。
そこで水鳥としての始祖鳥の復元図のラフを描いてみた。
なかなか似合っているかも。でも似合っているからといって、それが正しいということにならないのは自明の理である。
水中に潜って魚をとらえようとする姿も描いてみた。これもなかなか似合っている。
先にも書いたが似合っていることに、科学的根拠は何もない。それも悔しいのでちょっと調べてみたところ、これはという画像を見つけることが出来た。
昨年、某博物館で開催された恐竜博で日本初公開となった、『始祖鳥・サーモポリス標本である』。
大きく股関節を開いたこの姿。僕がラフで描いた水中を泳ぐ始祖鳥とそっくりではないか。(恐竜博2011図録・53pから画像引用)
さらに最近、非公式で聞いた話では、さらにクリーニングを進めたところ、後肢からこれまで見つからなかったものが見つかったというのである。それがこれだ。
非公式なデータなので、僕がスケッチしたものを元にペン画で描き起こしたものだが、後肢の指の間にかすかだが鱗状の痕跡を見ることが出来る。そう、水かきがあった可能性があるのだ。まさに「始祖鳥=水鳥説」を補強する決定的証拠ではないだろうか。そして彼らには不必要なほどに長い尾がある。この尾を使って、水中で強力な推進力を得ていたことも想像できる。飛翔するには貧弱な胸筋も、後肢と尾を使って水中で生活していたと仮定すると、あまり必要なかったことが分かる。
さらに始祖鳥が棲息していたのは、水が豊富なラグーンである。(Peter Wellnhofer 2009.ARCHAEOPTERYX The Icon of Evolution : 31p fig 4.9.から画像引用)
始祖鳥が水中に潜って、水棲の生物を餌にしていてもおかしくない。これからは始祖鳥が飛べたかどうかなどということに煩わされることはないのである。
僕もまた始祖鳥の復元図を描き直さなくては。
と、ここまで書いてきたが、よもや賢明な読者が本気にすることはないと思うが・・・・・。
以上、成安造形大学イラストレーション領域“特殊任務”准教授 小田隆がお送りしました。
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投稿者 corvo : 2012年4月 1日 01:30