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2009年7月19日
第16回美術解剖学会大会
18日土曜日は第16回美術解剖学会大会に参加してきた。朝、関西事務所から向かって、東京芸大に着いたのは午前10時30分頃。もっと早く出れば最初の発表にも間に合ったのだけど、体力的なことを考えて時間を設定したのだった。それでもこの日の睡眠は1時間30分。新幹線のなかでも少し寝たが、合計でも3時間ほど。日中、つらいかなと思っていたら、夜の飲み会まで眠くなることもなく乗り切れてしまった。
今回、もっとも注目していたのはManfred Zoller氏の特別講演だった。その講演は期待に違わず素晴らしいもので、美術解剖学について大きなヒントをもらうことが出来た。Manfred Zoller氏はドイツで美術大学教鞭をとっている美術解剖学者であり画家でもある。講演内容は、その大学で行っている授業の課題の紹介が中心だった。それらは身体の機能を単純化し、様々な素材を使って作られた模型であり、動きを再現したものもあった。
これは四足哺乳類を模式化した模型。針金で骨格を、帯状の紐で筋肉を再現している。
こちらは非常に美しく作られた、木製の人間の手の骨格模型。
骨格と筋の動きや働きを理解するのに、非常に効率的で楽しい課題だと思う。自分でも作ってみたいし、学生にもやらせてみたい。
とにもかくにも大いに刺激になる講演だった。
午後の2番目に僕の発表。直前まで機材のトラブルでばたばたしたが、なんとか無事乗り切ることが出来た。発表中は皆熱心に聞いてくれていたと思う。Hiroさんの実演では、大いに会場がわいていた。
しかし発表後、質問がなかったのは残念だった。全体に時間も押していて、充分に質問時間がとれないというアナウンスがあったのも原因だったかもしれないが、一つでも質問があれば良かったのだけど。達成感もあり、発表としては成功だったと思う。
午後の最後にはもう一つの目玉である、四谷シモン氏の特別講演があった。
作家が自分の制作について語るという内容で、生の声を聞けたという点では、非常に興味深く面白いものだったと思うが、美術解剖学との関連性はほとんどなかった。
今年の大会は特別講演の影響もあったのか、大盛況だった。いつもの会場ではまかないきれず、途中もっとも広い第一講義室に移動するというハプニングもあった。しかし、暑かった。講義室はエアコンがなく、階段状になった空間の上の方は、熱気が充満していてただ聞いているだけで汗が噴き出すような状況だった。パソコンなどの設備も含めて、東京芸大のインフラはかなり前時代的で改善してほしいところだ。準備されていたノートパソコンがiBook G4でOSは10.3。パワーポイントのファイルをCDRで郵送しなくてはならないことといい、あまりにおかしい。
全体には興味深い発表もあったが、美術解剖学と関連性の薄いものが多く低調であったと思う。発表する顔ぶれに何人か常連がいるのだが、もっと他に美術解剖学を全面的にテーマにした発表者はいないのだろうか。
良い出会いもあり、楽しいことも多かったが、学会としては残念ながらもうひとつだったと思う。
投稿者 corvo : 2009年7月19日 22:36