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2009年2月13日

アケボノゾウ復元画プロジェクト 1

『アケボノゾウ復元画プロジェクト』を立ち上げたのは、昨年の夏前だったのだけど、あまり進めることができずにこの時期まで来てしまった。締め切りが目前で、切羽詰まって重い腰を上げたという方が正確かもしれない。アケボノゾウは約200万年前から150万年前に生息していた、肩の高さが約2mと現在のゾウよりも小型の種である。琵琶湖周辺から保存の良い化石が見つかっており、復元画を描いてみようということになっていたのである。
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今日はほぼ組み立ての終わったレプリカを、標本業者のところへ見に行ってきて、各部の計測や資料撮影などを行ってきた。
多賀町立博物館に展示されている組み立て骨格から、さらに改良された姿勢になっており、最新の学説を反映した復元画を制作することを目指している。
春休みに入ってしまうが、学内で公開しながらの制作を計画しており、春には完成したものをお見せ出来るだろう。

現在、こういったレプリカや標本を製作する業者は苦しい立場に置かれている。博物館に予算がないため、常に仕事があるわけではない。新しい博物館の建設時には大きな発注があるが、出来てしまうととたんに出番がなくなってしまう。本来なら、展示の更新とメンテナンスが重要なのだが、日本の博物館ではあまりに軽視されている部分だ。
アメリカの博物館であれば、こういった標本やレプリカを作る専属のスタッフと部署を館内に確保しており、デザイナーやイラストレーターも雇われている。一方、日本の場合は全て外部の業者任せになってしまう。
僕もそのうちの一人ということになるのかもしれないが、なんともお寒い現状である。
せっかく高い技術を持っていても、次の世代に継承されることなく、その担い手はどんどん減っていっている。継続して仕事があるのであれば、うちの大学の卒業生などにも就職の道が開かれるのかもしれないが、今の状況ではとても勧められるものではない。産業として成立できないのであれば、大学などの研究機関で、そういった技術や知識を蓄積していくことも重要ではないだろうか。
「寒い時代だと思わんか?」と一言つぶやきたくもなるというものである。

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アカデミアプラトニカ

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投稿者 corvo : 2009年2月13日 23:23