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2006年7月15日

世界の巨大恐竜博2006

昨日は午前中まで非常勤講師の仕事をし、午後から幕張メッセで開催されている世界の巨大恐竜博2006の開会式とレセプションに行ってきた。幕張の恐竜博で招待状が来たのはこれが初めて。
午後3時から開会式、40分後に内覧会が始まる。すぐには会場に入らず、ある雑誌の編集者と喫茶店で雑談。
5時からレセプション(オープニングパーティー)ということもあり、駆け足で見る。最初に生命の進化を大きくとらえた展示で、それぞれの時代を代表する生物の標本が並ぶ。今回の展示会場は、通路が狭くなくて歩きやすい。長い階段状のスロープを上ると展望台があり、眼下(それほど高さはないが)に巨大な恐竜たちを見ることが出来る。
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これが目玉のスーパーサウルス。レンズの都合で一枚では入りきらなかった。2002年のセイズモサウルスに比べると、復元骨格の質感が少し甘いか。発見されている部位が少なく、復元に頼っている部分が大きいので仕方ないだろう。
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これはカマラサウルスの親子の標本。画期的なのは、左右の肩甲烏口骨がぴったり合わさっていることである。これは、なかなか見ることができない復元で、極めて自然であると思う。恐竜は四足歩行のほ乳類のように、左右の肩帯を独立して動かしたのではなく、左右の肩帯は関節して固定されていたと考えている。二足歩行の獣脚類の肩帯が叉骨でつながっていることからも、竜脚類も同様のことが言えるのではないだろうか。
首の上がり方は少し極端かもしれない。残念なのは、幼体の組み立てでは左右の肩帯が離れてしまっていることである。他にも竜脚類の組み立て骨格が何体もあるのだけど、すべて左右の肩帯が離れてしまっている。
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これは見たかった標本の一つ、ゴルゴサウルスの全身組み立て骨格。どうやら満身創痍のままに化石になってしまったようだ。右足の腓骨は何カ所も骨折して短くなっており、左の肩甲烏口骨には癌化したようなふくらみが目立つ。やはり腹肋骨のついたでっぷりとした胴体が、自然な動物の体型に思える。近くに展示してあったティラノサウルスにも腹肋骨が復元されていて、見応えがある。この標本10mと最大級ではないのだけど、これまで見たことのない標本。それもそのはず、2001年に発見された愛称「バッキー」と呼ばれる標本で、今のところ最も新しく発見された個体だということである。
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これが疑問の残る標本。キャプションでも、図録でも「シノベナトル」と明記されているのだが、標本の特徴を見る限り小型の植物食恐竜に見える。シノベナトルであれば獣脚類トロオドン科であり、小型の肉食恐竜ということになる。
まず、歯が肉食恐竜のものには見えない。眼穿にはヒプシロフォドンやヘテロドントサウルスに見られるような突起(骨の名称が分かりません)が見える。骨盤も見る限り、鳥脚類にしか見えない。恥骨が後ろへ回転するのは獣脚類にも見られる特徴なのだが、その場合は先端に大きなふくらみが出来る。この写真で見る限り、ほとんどまっすぐの棒状にようにしか見えない。謎な標本である。
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これは会場外に設営された「スーパーエコサウルス」。NHK恐竜キャラバンで小学校を廻ったときに書いてもらったメッセージのカードを、タイルのように貼ったものである。環境への意識を高めてもらうためのイベントで、小学生たちの素直なメッセージが丁寧に書かれている。
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5時過ぎにホテルのレセプション会場に移動して、立食パーティーに参加。写真は帰りにもらった記念品と図録。モリーのぬいぐるみもあったのだけど、写真に撮り忘れた。スーパーサウルスのミニチュア骨格モデルは、透明レジンに着色してあり肋骨のふくらみや細さなどが、的確に再現されている。こういう方法もあったのかと、目から鱗である。
会場では科博の真鍋さんに通訳をお願いして、BHIのピーター・ラーソンと知り合うことが出来た。
暑く、遠い、幕張であったけど、有意義な時間を過ごせて満足の一日でした。
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投稿者 corvo : 2006年7月15日 15:30