2006年5月31日
Tarbosaurus process 01
今日は久しぶりに一日中、天気がよかった。5月も今日でおしまい。6月は中旬まで、さらにハードな日程が続く。
10日までにモノクロペン画15点。15日までにポスター用タルボサウルス生体復元画を1点。中国出張が1回。友人に頼まれている猫の絵を1点。といった具合。
この中で、もっともプライオリティが高いのは、モノクロペン画15点なのだけど、制作時間を考えてタルボサウルスを先行して進めていいくことに決めた。
ポスター用の原画ということで、縦構図でほしいというリクエスト。以前、群馬県の藤岡で行われたモンゴル恐竜展の写真があったので、これを利用して、ポーズや構図を決定していくことにする。
紙のサイズは56x38cm。写真をちょうどおさまりのよい大きさに拡大コピーをして、骨格のアウトラインを転写していく。この構図で一度は進めていたのだけど、ちょっと迷う。骨格だけで写真を見ているとかっこ良いのだが、生体だとどうにも決まらない。一眼で見えているカメラの世界と、両眼で見えている人間の世界とでは、どうにもしっくりこない境界があるように感じる。図学的に正確なパースペクティブを追求するなら一眼で見るべきなのだろうが、実際に両眼で見て脳で補正している世界とは少しずれがある。最終的には、結局頭のなかでイメージした構図で組み立てていくことにした。
右側が没にした、写真から起こした構図。左側が今、制作しているもの。色をつけていく過程で、まだ動かすかもしれないが、これで進めていくつもりである。
没にしたエスキースとか、誰か欲しい人いるかな。来月、blogが一周年を迎えるので、読者プレゼントにしようかな。どうでしょうね。
もはや、順位にはこだわりなし。それでも気が向いたらぽちぽちお願いします。
投稿者 corvo : 23:40
2006年5月30日
アロサウルス、NHKとBBC
今日、つらつらと友人のblogを読んでいると次のような記事が。決して、新しい話題ではないのだけど、友人であり古生物造形師のひとりである、ふらぎさんの記事「アロ好きとしては言わずにおれない。」にピピッと反応してしまった。
この話題、実は昨年の夏に古生物学会の場で、直接NHKのプロデューサーに質問したことがあった。そのときの顛末はこのblogのエントリー「古生物学会」に詳しく書いている。もちろん、そのときもふらぎさんはコメントを寄せてくれている。
NHKのアロサウルスとBBCのアロサウルス。BBCのアロサウルスは頭骨の形状におかしなところがあるが、生物としての実在感と躍動感を感じる。一方のNHKのものは、出来の悪いソフトビニールフィギュアのようだ。
僕はNHKの作るドキュメンタリーの質は高いと思っているし、好きな番組が多い。ちゃんと受信料も払っている。こんな程度のCGで終わってほしくはない。BBCのほうが製作時期が古いのだから、いやになる。参考にも出来なかったのだろうか。
復元とは何かということが、まったく理解されていなのだろう。志も低い。せっかくのCGの技術も、ツールとしてのコンピューターも生かせていないと思う。
久しぶりに改めて、NHKのアロサウルスを見たけど、ひどいなあ。両生類の出来はいいだけに残念である。
投稿者 corvo : 11:29
2006年5月29日
来年の予定
先週の金曜日、非常勤講師を終えた後、車検から上がってきた車を取りに行き、自宅へ帰る途中に懇意にしてもらっている画廊へ立ち寄ってきた。過去にも一度、個展を開いているギャラリー間瀬である。時間があると時々、顔を見せてオーナーと四方山話をしてくるのだけど、静かな語り口にいつも心が和む。僕の仕事の中心は、ここ数年は古生物の復元画の制作で、展覧会を開くときも、復元画による個展ばかりであった。
僕はもともと復元画や恐竜に興味があったわけではなく、contemporary作品を制作することが中心であった。もちろん、作品がどんどん売れるわけではなく、フリーターをやりながら難しい時期を何年か過ごしていたのだけど、偶然「恐竜」に出会ったことから絵を生業にすることが可能になった。
しかし、今でもcontemporary作品は僕にとって重要な位置を占めている。だからといって、復元画をやめてしまいたいということではなく、どちらのジャンルも切っても切れない関係になっている。両方の制作をやっていないと、自分の中でバランスをとることが出来ない。今のように復元画を制作する時間が長く続くと、僕の中でバランスが取ることが出来なくなっていく。
また、僕の復元画以外の作品の発表を、心待ちにしてくれている人もいる。そこで来年、「個展をお願いできませんか」とオーナ−に話をしたのである。「いいよ」。即答であった。とても嬉しそうに「いいよ」と言われた一言が、僕はとても嬉しかった。
来年、おそらく個展を開くことになると思います。ちょっと先のことですが、記憶の片隅に置いておいてもらえると嬉しいです。まだ、正式に決まったわけではないですが、新作を制作していきます。
順位へのこだわりがなくなってきました。応援よろしくお願いします。
投稿者 corvo : 01:50
2006年5月28日
レーサーの死
先日お知らせした「わくわく観察図鑑」の仕事が一段落したのだけど、次の仕事(複数)に追われている。描き続ける日々。6月中旬までは、息の抜けない日が続く。といっても息抜きは必要。久しぶりに一冊、読了することができた。読みかけの本が日々増えていく状況の中で、一気に読むことができた。
それが、レーサーの死。
僕は車が好きで、モータースポーツが好きで、F1は毎戦楽しみに観戦しているのだけど、モータースポーツ全般に精通しているというわけではない。下位カテゴリーや、無名の新人選手となると、これまでもほとんど知らなかった。
この本は上質なドキュメンタリーである。表紙はアイルトン・セナ・ダ・シルバ。1994年5月1日にイモラサーキットで起こった死亡事故報道の話から始まる。最初の章は、この本のなかでも特異な位置づけである。死亡事故そのものではなく、そのレースを中継していたフジテレビの裏側で何が起こっていたかのルポが中心となっている。この日は、僕も深夜の放送を楽しみに待っていた。ところが、流れたのはレースではなく、セナがコースアウトとしてクラッシュし、病院に搬送されたという報道だった。このグランプリでは、前日にローランド・ラッツェンバーガーも死亡事故を起こしていた。
僕はセナというドライバーが大嫌いだったのだけど、その日以来、複雑な感情がずっと残っている。セナが速く走れなくなって、中段あたりをうろうろして苦しむ姿を心待ちにしていたのに、トップドライバーのまま伝説になってしまった。しかし、あの時のセナはピークをすぎ始めており、シューマッハ、ハッキネンなどの若手ドライバーの台頭に苦しんでいた。
僕の個人的な感情は抜きにして、「死」が身近であるモータースポーツという存在を、あらためて考えるきっかけになった出来事であったし、「レーサーの死」を読んで当時の感情がまざまざと浮かび上がってきた。
2章からは、日本で起こった死亡事故を、ドライバーの遺族と周辺の人物へのインタビューと取材を通して、たんたんと描き出していく。福沢幸雄(享年25)、川合稔(享年27)、鈴木誠一(享年37)、風戸裕(享年25)、高橋徹(享年23)、小河等(享年36)たちが死に至までの道程を追体験することになる。多くが、今の僕よりもずっと若いか、同じ年齢で亡くなっている、レーシングドライバーである以上、誰も自分から死を望んだわけではない。しかし、そのときの状況から、その死が必然的に訪れたと感じざるをえない。それらは、実際に車に乗らない人間たちによって作られていた。
大企業の論理であったり、政治的な判断の結果であったり、そんな一ドライバーにとって遠い世界の出来事が、彼らを死に至らしめてしまった。僕はトヨタというメーカーに漠然と不信感と嫌悪感を感じていたのだけど、この本を読んでこのメーカーがモータスポーツを舞台に何をしてきたかが分かった。そして、多くの悲劇の舞台となった富士サーキットを買収し、改修してF1を開催しようとしているトヨタに皮肉を感じる。これから何事もなければよいが。
詳しくは、是非この本を手にとって読んでみてほしい。モータースポーツに興味のない人間にも、人の死の重さを知る上でも、素晴らしい良書であると思う。
たまにはこんな話もよいでしょうか。ついでにポチポチっとお願いします。
投稿者 corvo : 21:36
2006年5月25日
ホルスト・ヤンセン Horst Janssen
実は昨日の夜、同じタイトルでほとんど書き上げていたのだけど、あることを検索しようとググってそのサイトへ飛んだ途端、なにかソフトのプラグインの問題だろうか、Safariが落ちてしまい書いた物が全て消えてしまった。しばし呆然。一昨日の夜から、どうにもデジタル機器が反抗期である。これは「MacBookを買え」という神の啓示なのか、僕の気持ちを知った既存機種の抵抗なのか。僕自身、機械に対してそんな幻想は抱かないのだけど、2日続けてはちょっとつらい。おかげで早く寝ることができなかった。
気を取り直して、日曜日の「ホルスト・ヤンセン展」の話。
日曜日は朝から天気もよく気持ちのよい日だった。朝から、代車マーチで妻と埼玉県立近代美術館まで出かける。美術館で僕の友人と待ち合わせて、3人での鑑賞。
この美術館は公園のなかにあり、休日ののどかな光景を見ながら建物まで歩いていく。なかなか雰囲気もよく、自然と気持ちも落ち着いてくる。この美術館は駅からも近く、都内からアクセスの良い美術館のひとつだろう。公園内にあるということで、駐車場がないことが難点か。市営の駐車場が10分ほど歩いたところにあり、少し離れているが、駐車料金も安く(1時間210円)それほど不便は感じない。
公園内の噴水が涼しい風を運んでくれる。
一緒にいった友人と僕は、美大を出ていて30代という共通項があり、そんな僕らにとってヤンセンはまさにアイドルだった。これまでもヤンセンは日本でも紹介されていて、画集もたくさん出ているが、重要な展覧会は80年代前半に集中している。その頃、僕はまだ中学生だったので、ヤンセンの「ヤ」の字もしらなかった。僕にとって初期の木版画や、鉛筆画は画集の中の存在でしかなかった。
とにかく画集や図録はよく見ていた。高校生、受験生の時は随分影響を受けて、たくさん真似て描いたものである。今でも持っているが、「みづゑ(1968年10月号)」とケストナー協会で開かれた1965年の個展の図録は、僕にとってバイブルといっても過言ではない。
ヤンセンの自画像を使った巨大なポスターが、僕らを迎えてくれる。
午前中に着いたこともあり、会場は空いていてゆったりと観ることができた。ほとんど貸し切りのような状態である。こうでなくては、きちんと作品と向き合うことができない。60年代の鉛筆画。ストロークのひとつひとつが、形を紡ぐように画面を埋め尽くしている。極めて精緻で抑制の効いたタッチ。凄まじい集中力で描かれていることがよくわかる。尖らせた鉛筆の芯の先に眼がついているように対象を捉えていく。
彼は身の回りのものをモチーフにする。人物も、動物も、植物も、物も。この時代のモチーフは、ほとんどが人物だが、それらは画面の中で歪められ、大きくディフォルメされているが、不快な印象はない。高校生のとき、画集でこの時代の作品を見て僕は衝撃を受け、大好きになったのだけど、あまりに近視眼的な描写にヤンセンは形を正確に描けないのではないかと思った覚えがある。しかし、それは間違いだった。
70年代後半から80年代にかけて、花のモチーフが増えてくる。これらは写実的で正確に描写されているのだけど非常にエロティックだ。鉛筆などの乾いた素材で描かれているにも関わらず、匂いたつエロティシズムがそこにあると感じさせる。植物にとって花は生殖器なのだから、そういった感想を持つことは自然なことだと思うが、ヤンセンの描く花はそれが際立っている。儚さと、性と生のもつエネルギーを、切り取られグラスにいけられた花から描出してみせる。美しい。
ほかにも書きたいことがあるのだけど、長くなるのでまた後日に。
残念だったのは図録がなかったこと。ひょっとしたらこの本「画狂人ホルスト・ヤンセン―北斎へのまなざし」をもとに、企画された展覧会だったのかもしれない。紹介されている作品がほぼ重なる。ヤンセンを俯瞰的に輪郭をとらえるなら良い本だと思う。ヤンセン自身が書いた「私自身について(自叙年譜)」は必見。彼の無軌道ぶり、複雑な人間性を垣間みることができる。
展覧会を観た後は、美術館に併設されたレストランで食事。最近の美術館、博物館のレストランは、非常に良くなっている。値段もリーズナブルで美味い。
写真は大好きなビールのひとつ、キリンのハートランド。帰りは妻に運転してもらうことで、グラスビールを頼んだ。ハートランドを置いてあると、ついつい飲みたくなってしまう。この瓶は、レストランが水を出すために使っていたもので、デザインもよく、陽光の中で緑が鮮やかで美しい。味も、瓶のデザインも、全て含めて大好きなのである。飲んだことのない人は、ぜひ試してみてください。
ヤンセンについては、また近いうちに。この展覧会、21日の日曜日が最終日だったのが残念。もっと早い段階で観に行って紹介するべきだった。ぜひ、都内で開催してほしい展覧会の一つである。また、観たい!そして欲しいなあ。
気が向いたら、ポチポチっとお願いします。
投稿者 corvo : 10:51
2006年5月24日
再びクラッシュ
昨晩、blogを書こうとして写真を選ぶため、OLYMPUS Masterを起動したところ、アップデートのアラートが。指示されるままにアップデートをして、アプリケーションを再起動すると動きがおかしい。そのまま操作を続けると、突然OS自体の動きが怪しくなる。そのままシステムダウンして、起動ディスクを認識しなくなってしまった。
今回はバックアップをとってあったので、無事に復旧したのだけど、時間を浪費したことには変わりない。
仕事が一段落したところで、調子が悪くなるとは。これはMacBookを買えという神の啓示か。
今日は、修正の必要な始祖鳥の骨格図を送り返してもらい、すぐ修正して発送した。これで、すべてのイラストの納品が終わった。でも、すぐに次の仕事に取りかかっている。こちらも時間がないので、さくさくと進めていかなくては。
このイラストが午前中に到着。後肢を中心に修正した。
生体復元も少し修正。これも後肢を中心に直している。
修正した部分のアップ。本当に満足するところまで描こうとするときりがない。時間の制約もあるし、そうでなくては仕事はまわっていかない。最高の妥協点を見つけていくことも重要である。でも、こちらのしつこい要求にも応えてくれる、担当編集者に感謝です。
表彰台は近くて遠いですが、のんびりいきます。
投稿者 corvo : 22:43
2006年5月23日
小カットが終わった
終わった。計55カット。本日、午後3時に編集者の「取り立て」に無事手渡しほっとする。今回はさすがに締め切りを、少しオーバーしてしまった。一点、若干の修正をするために戻してもらうので、ほんの少し作業を残しているのだけど、99%これで終了。
骨格復元図(カラーイラスト、B3サイズでアクリルで制作)が9点。
生体復元図(カラーイラスト、B3サイズでアクリルで制作)が同じく9点。
各ページの解説に使用するカット(ペンに透明水彩)が55点。
これが、今回の全ての枚数である。途中イベントへの参加などなければ、もう少し早く終わったかもしれないが、どうやら出版される日に影響はない模様。6月末出版予定。
最後の5点、昼過ぎに完成。
読んだついでにポチっとお願いします。そろそろMacBookもポチっといきますか。
投稿者 corvo : 15:50
2006年5月22日
小カットが終わらない2
昨日に引き続き、小カットに苦戦。今日は、墨入れしたカットに透明水彩で着彩していく。
今日だけで50点に色を入れた。残りは5点。これから墨入れをしなくてはいけない。
作業終了直後。枚数が多いので、乾いていないところを重ねないように、どんどん積み上げていった。我ながらよくやると思う。自画自賛。
一点ずつは大体こんな感じ。顔料系のペンで線を描き、透明水彩で着色していく。ペンの段階で、かなり明確に描いているので、着彩は最低限度でよい。それでも時間はかかる。
使っている透明水彩はドイツのSchminkeとイギリスのRowneyのもの。どちらも素晴らしい発色をしてくれる。質の高い材料を使うと、最低限度の手数で進めることができる。透明水彩は使うたびに水で溶かすので、その都度補充することもなく使い切るまでには、かなり長い時間がかかる。なので高価な材料であっても、十分にもとはとれるし、この質の高さは何事にも代え難い。
絵を楽しみや趣味で描いている方にも、おすすめである。質の低い画材を使って上手くいかないとイライラするより、良い材料で気持ちよく描いてほしいと思う。最初の初期投資はかかるかもしれないが、何倍にも楽しみとして帰ってくるだろう。
ほぼ丸一日、描き続けだったのだけど、右手と背中の痛みがピークに達して。たまらずいきつけの接骨院へ駆け込む。電気治療、超音波治療、じっくりとマッサージの後に、右手に5箇所お灸を据える。右手は酷使しているせいで、かなり筋肉が硬くなってきてしまっているようだ。しばらく休めたいところだが、そうも言っていられない。でも、どこかで真剣に休めないと、改善しないことは間違いない。締め切りが一段落する、6月中旬までの辛抱か。
何もでませんが、ポチポチお願いします。
投稿者 corvo : 23:56
2006年5月21日
小カットが終わらない
昨日、今日と最終日の展覧会があったため、どうしても出かけなくてはならず、時間をとられる。見たかった展覧会だし、とても良かったのだけど、まともに休みがとれないことに、少々憤りを感じる。心が折れそうだ。
小カットが終わらない。多すぎる。まったく割にあわない。泣き言を言っても始まらないので続ける。進める。
今日行ってきた展覧会は埼玉県立近代美術館で開かれていた「ホルスト・ヤンセン展」。素晴らし展覧会でした。その詳細は後日に。
投稿者 corvo : 23:35
2006年5月19日
MacBookを見てきた
今日は非常勤講師の日。
夕方、杉並区にあるガレージサンクへ車検に出す予定になっていたので、朝から車で出勤となった。雨ということもあり、渋滞が酷い。都内某所にも関わらず、2時間近くかかってしまった。遅刻しないかとひやひやしたが、無事、授業の10分前には到着。
今日はさらに車を出した後、大丸へ増刷りした版画を届けなくてはいけなかったので、なかなか慌ただしかった。版画も学校へ直接送ってもらい、エディションナンバーとサインをいれて納品。全て、滞りなく予定を消化することができた。
僕の車はルノールーテシアRSという、ちょっぴりスペシャルな車なのだけど、代車で借りてきたのが古い日産マーチ。これがとにかく遅い。それなりの年式だし、貸してもらっている車なのだけど、たとえこの車が新車だったとしてもそれほど変わりはないだろう。遅いというのは単純にスピードだけの問題ではなく、自分が意図したとおりに車が反応してくれないことにいらいらする。これは実に危険なことでもあって、とっさに危機を回避できないことにもつながる。さらに怖かったのは、ブレーキが効かないことである。効かないと書くと語弊があるが、ちゃんと止まることは止まるのだけど、自分が意図したタイミングで速度が落ちてくれない。少し遅れるのである。早め早めにブレーキをかけなくてはならず、いつもの運転のリズムを崩してあわせていく必要があり疲れる。
車屋から大丸へ移動する間に、少し時間があったので銀座のアップルストアに寄ってみた。もちろんMacBookを見るためである。 店に入るとスタッフがすぐに近づいてきて、MacBookを手渡してきて説明を始める。薄くて、持った感じはとてもよく、ワイドになったプロポーションはかっこ良く美しい。白いものは、従来のiBookと同じような質感で、後継機としての違和感がない。今回の最大の目的は、黒いほうを見ることだったのだけど、結論から言ってしまえば僕は白い方でOK。当然、白い奴のほうが強いはずだし、黒い方は3台集めないと威力を発揮しないし、という冗談は置いておいて、わざわざ高い金額を払って黒にすることはないなと思った。「まっくぶっくぷろ」という響きに対して「まっくぶっくくろ」は似ていて良いなあと、くだらないことも考えていたのだけど、つや消しのボディにべたべたと手の脂が残ってしまうのが気になる。いつも綺麗にしておこうと思うと、眼鏡のレンズを拭くように神経質になっていないと駄目だろう。その点、つるんとした白のほうが、気兼ねなく持ち歩ける。やはり白だな。後はタイミングだけ。
今、大丸ミュージアムではニキ・ド・サンファル展を開催していて、これがなかなか面白かった。巨大でふくよかな女性像を派手な色彩で着色した彫刻「ナナ」シリーズが有名で、見ればすぐに分かる人も多いと思う。僕も有名な作品のスタイルしか知らなかったのだけど、初期の作品から見ることができて興味深かった。22日月曜日までの開催なので、興味のある方は是非。
残っている小カットを数えたら、後28点。墨入れが終わっているのが24点で、まだ半分以上ある。明日のうちに決着をつけるつもり。
毎日ポチポチお願いします。
投稿者 corvo : 23:52
2006年5月18日
Archaeopteryx skeleton & living body 03
今日は予定を変更して、比較的ゆったりと制作した。ここのところ疲労がたまっていたため、筆の運びにも切れがなく、このままでは質の低い仕事になってしまうので、 一日かけて始祖鳥を仕上げることにしたのである。
そして無事、今日のうちに完成。カラーリングはちょっと地味だろうか。
大型の恐竜と違い、実物に近い大きさの生物を描く時は、ディテールの描写に気を使う。
頭部もあまり派手ではない。少し冠羽をつけて、アクセントにしている。
始祖鳥の大きな特徴の一つである爪をもった指が3本。そして、飛翔可能な非対称の風切羽ねを持つ。
第二指を持ち上げて疾走する足。始祖鳥は胸筋が小さく、静止状態からはばたき、飛び上がることは難しかったと思われるので、長く丈夫な後肢でダッシュし飛び上がっていたと考えられる。
これでようやく、全ての骨格図と生体復元図が完成した。残るは小さなカットが60点近く。半分ぐらいは墨入れが終わっているので、残りを一気に仕上げてしまう予定。
明日は非常勤講師の日。夕方、車を車検に出してきます。既に5年目。少々やれてきましたが、飽きのこないいい車です。
地道にこつこつ。ポチポチっとお願いします。
投稿者 corvo : 23:54
2006年5月17日
Archaeopteryx skeleton & living body 02
今日は午後から、担当編集者が原画の「取り立て」に来る日だった。急ピッチで制作したのだけど、始祖鳥の生体復元と小さなカットが残ってしまった。疲労のためか、非常にペースが悪くなっている。担当編集者が、原画を待って今の今まで粘っていた、という売れっ子漫画家や作家のようなことはないのだけど、来週の頭に全て納めることに決定。
小さなカットは「モノクロのほうがいいかもしれない」という担当のありがたい言葉に期待したのだけど、デザイナーのリクエストで従来通り水彩による着色が必要ということで落ち着く。
今晩までに始祖鳥の生体復元まで仕上げたかったのだけど、少し体を休めるためにも途中で終えることにした。
羽毛、翼が生えてくると、一気に印象が変わる。
毛を一筋一筋、面相筆で入れていく。明日には完成の予定。これが終わったら、すぐにカットの仕事へ移らねば。
もう少ししたら、この仕事の出版情報の詳細をお知らせできると思います。
近くて、遠い表彰台です。応援よろしくお願いします。
投稿者 corvo : 23:21
Archaeopteryx skeleton & living body 01
MacBookの発売に心奪われながらも、なんとか始祖鳥の骨格図を完成。今日もほとんど画像だけをアップ。
面積が小さいのでもっと早く終わるかと思っていたのだけど、それぞれの骨が細く神経を使うため、けっこう時間がかかってしまった。
頭骨は非常に華奢に出来ている。
立派な叉骨はあるが、竜骨突起はまったく発達していない。強く羽ばたく筋肉が付着する場所が、ほとんどないことがよくわかる。
ドロマエオサウルス類のように持ち上げた後肢の第二指。
明日、午後3時に担当編集者が、自宅まで取りに来てくれることになっている。さて、その時間までに生体復元図を完成させることができるか。でも徹夜はできないので、これからすぐに寝ます。
なかなかブログ村ベスト3に入れません。応援よろしくお願いします。
投稿者 corvo : 01:55
2006年5月16日
MacBook
ついに発売。待ってました。
MacBook。スペック的には、これでもう十分。今、持っているノートは2001年に買ったibook G3-500なので、あまりの遅さに使えなくなっていた。ノートでの使用ならクラシック環境もいらないので、時期ibookを待っていたのである。
13.3インチは少し大きいか。出来れば12インチがほしいところだし、2キロはきってほしかったけど、魅力的な内容である。僕の用途だとMacBook Proはいらないなあ。どのタイミングで買うか。
今年は出張も多く予定しているので、近々入手しなくては。
投稿者 corvo : 23:24
Pachycephalosaurus skeleton & living body 02
「きつい」と口で言ったり、書いたりしても、何も始まらないので、とにかくさくさく進める。
予定通り、パキケファロサウルスの生体復元まで完成。今日も書いている時間がないので、画像中心にアップしておく。
先日の予告通り、スキャンした骨格図。
生体復元図。今回はツートンカラーに縞模様。喉に赤くワンポイント。特にモデルにした生物はない。
この恐竜は、やはり頭部が一番特徴的である。ここが一番描いていて楽しい。生体復元図の眼は、ちょっといっちゃっている感じが。今の僕の眼もこんな感じかも。
絡み合う尻尾の腱。面倒くさい。モンゴルで発見されたホマロケファレの標本を参考にしているのだけど、実際の化石を見ても規則正しく綺麗に並んでいる。工芸品のように美しい標本のひとつ。
ついでで結構ですので、ポチポチっとお願いします。
投稿者 corvo : 02:09
2006年5月14日
Pachycephalosaurus skeleton & living body 01
昨日、一日でエスキースから骨格図完成まで進めようと思ったのだけど、さすがに無理だった。
今日、ようやく完成。今度はパキケファロサウルス。あまり書いている時間がないので、画像が中心です。
エスキースを転写して、カラーインクで陰影をつけた状態。
頭部のディテール。この恐竜の特徴は頭骨にあるので、この部分は特に丁寧に作業する。
ホワイトを混ぜたアクリル絵の具で、描き起こしていく。
たった今、出来上がった完成画像。スキャンした画像は、後日アップします。
上半身。特徴的な頭部と、幅が広い胴体。でっぷりとした印象である。
パキケファロサウルスの仲間の特徴でもある、骨化した腱で強化された尻尾。これだけでもかなりの重量だっただろう。重い頭部とバランスをとっていたのかもしれない。
この恐竜は、頭骨は数多く発見されているが、それ以外の部分については、まだよくわかっていない所も多い。全身の復元としては、ちょっと自信がない。
読んだついでにポチポチ、よろしくお願いします。
投稿者 corvo : 15:28
2006年5月13日
Dinosaur FACTory 1
昨日の金曜日、午前中は自宅にて打ち合わせ。とても天気がよい。
打ち合わせといっても、現在進行形の案件ではなく、一度仕切り直し、出直すための打ち合わせである。ここで詳しく書くわけにはいかないが、これから進展があったときは報告していきたいと思う。本を書き、出版するまでには、膨大な時間とエネルギーが必要になる。しかし、それに見合った報酬が得られるとはいい難い。特に、絵本業界の状況は、非常にお寒いといっても過言ではない。そんな中でも、出来る限りいい仕事をして、より良い本を子供たちに手に取ってほしいと思っている。そのためには、多くのことを改善し、自分自身のスキルを高め、理想的な状況を創り上げていかなくてはいけない。
ここ数日で、ひとつ企画書をまとめようと思っている。この企画書をもとに、仕切り直した出版社との関係を、もう一度構築していこうと考えているところである。
そして、午後からは14日で閉館してしまう有明のダイノソアファクトリーへ。距離的には近くにありながら、交通事情の悪さから3回ほどしか行ったことが無かったのであるが、今回あらためて展示物を見て激しく後悔した。もっと、普段から取材しておくべきであった。後悔先に立たず。
ファクトリーという名の通り、研究の舞台裏を見せる演出が素晴らしい。このファクトリーの母体である林原自然科学博物館がモンゴルで行っている発掘、プレパレーション、復元といった研究に至る様々なプロセスを、丁寧に紹介している。
展示されている標本の数は多くないが、それぞれの質が非常に高く、見応えがある。一つ残念なのは、これらの成果をこのダイノソアファクトリーかサイト上でしか見ることが出来ないことだ。これだけの標本があり、研究に携わっているスタッフがいるのならば、もっと論文として発表されても良いだろう。今、多くの論文が準備されているのかもしれないが、きちんと投稿され掲載された状態でなければ、公式にその研究成果を利用することができない。早く人類共有の財産として、研究成果を論文にしてほしいと切に願う。この施設の公式の図録のような出版物がないことも不思議である。パナソニックとの提携で、電子化されたデータの蓄積はあるのかもしれないが、手に取って読むことが出来る書物として、形にしてほしいと思うのは、僕だけだろうか。
今回、ブラキオサウルスを重点的に取材してきたのだが、やはりこの首を高く上げたポーズはファンタジーあるとしか思えない。骨格を見る限り、キリンのようにそびえ立たせることは無理である。
堂々として、彫刻としての美しさはあるかもしれないが、生物としてあまりに不自然である。
この写真を見てもらうとよくわかるが、あきらかに関節が外れている。というよりも、わざわざ首を高くあげるポースのために、関節を意図的に外しているのである。これは復元ではなく、理想を追求した創作であろう。
こちらの写真でも、はっきりと分かると思う。S字を描かせるために、付け根近くは関節突起が重なりすぎて外れているが、頭近くになると前に倒すために関節突起を離している。
それでもブラキオサウルスの首は高くそびえ立つと言えるだろうか。首が地面に対して水平であったとしても、この巨体である、わざわざ首を持ち上げなくても、この高さまで達する口を持った生物は、他にいなかっただろう。
ブラキオサウルスの首が高く上がると言う説得力ある意見があれば、是非コメント欄に書き込んでほしい。骨格を見る限り、高く上がらない証拠ばかりが見えてくる。どうして上がると考えるのか。上げなくてはいけない必然性がどこにあるのか。僕には、どうしても上がるとは思えないのである。
ダイノソアファクトリーでは、ほかにも気がついたことがあるので、後日アップしていきたいと思う。(続く)
ちょっと更新時期があいてすみません。応援よろしくお願いします。
投稿者 corvo : 23:54
2006年5月12日
Euoplocephalus skeleton & living body 04
今回も予告通り、エウオプロケファルスの生体復元図を完成。ノルマ達成。といっても、まだまだ終わりません。
先日のコメントで、骨格図の上に重ねて描いているのか?という質問があったので、もう一度プロセスを紹介しよう。
骨格図をトレースし、トレーシングペーパーの裏に鉛筆を塗り付ける。この状態のものを、BBケントのイラストボードの上にのせて、トレースしたラインを転写していく。
肋骨などを一本ずつ写す必要はないが、各部のプロポーションは正確に転写する。さほど強く線が残らなくても良い。
軟組織の部分を鉛筆で描き加えていく。軽いタッチでOK。あまり強く描くと、絵の具をのせたときに影響が出てしまう。
昨日のコリトサウルス同様、カラーインクのセピアで陰影をつけていく。
そして、まるでNHK「今日の料理」のように、プロセスをとばしてしまう。「こちらに煮込んでおいた鍋があります」なんて具合に一気に完成の画像へ。ただ忙しく制作していて、途中の段階を写真に撮っていなかっただけです。
鎧竜は面倒くさい。装甲が多いし、面積もある。先日のサイン会でサイカニアなんてリクエストはいった時は、くらくらしてしまう。好きな生物だから良いのだけどね。
頭部のディテール。鎧竜の魅力は、ごつごつした頭部にある。デコラティブで好きだ。でも、サイカニアのほうが好み。
背中の装甲のディテール。今回は描き込むだけでなく、絵の具のテクスチャーにもけっこう頼っている。もっとうまくコントロールできると、効率よく描けるだろう。
とにかく、なんとか完成。
連日へろへろです。応援よろしくお願いします。
投稿者 corvo : 02:06
2006年5月11日
Corythosaurus skeleton & living body 04
昨日、細部をアップできなかったので、今日あらためて画像を載せる。
一冊の本のイラストを全て制作する仕事なので、どうしても長丁場になる。そうすると後半にいくに従って、締め切りの問題もあるのだけど、どんどんスピードが上がってくる。最初にあった試行錯誤の部分が少なくなってくるので、効率よく作業することができるようになってくる。
上が生体復元で、下が骨格復元。まったく同じポーズで描いている。モヒカンですね。
今度は胴体部分。ハドロサウルスの仲間は、他の恐竜と違い、胴椎が大きく湾曲して関節している。全身が見つかっているミイラ化石をみてもそうなっているので、これが正しい姿勢なのだろう。竜脚類や獣脚類ではほぼまっすぐであり、ステゴサウルスは少しカーブしているだろうか。それでも、これほど極端ではない。
前肢の指の2、3、4番目は軟組織に覆われて、ミトンの手袋のようになっている。これもミイラ化石からはっきりしたことが分かっている。後肢の形状は、二足歩行する大型の獣脚類に一見似ているが、その指は太くて短く、爪は蹄状の形をしており、比べてみると大きな違いがある。足跡の化石を見ても、まったく違う形態であることがよくわかる。
ハドロサウルス類の特徴である、長い神経棘突起と、それを補強するように絡み合った骨化した腱である。常に尻尾はピンと伸ばした状態であっただろう。高さがあることから、セックスアピールのための派手な模様があったかもしれない。
今日はエウオプロケファルスを制作中。出来上がり次第、アップします。
ポチっと押しても安全です。よろしくお願いします。
投稿者 corvo : 15:11
2006年5月10日
Corythosaurus skeleton & living body 03
今日は、コリトサウルスの生体復元。
始めて30分ぐらいの状態。カラーインクのセピアで、陰影だけをつけていく。こういった技法をグリザイユと呼ぶ。
頭部の部分。面相筆を使って、出来るだけ描き込んでいく。ここで正確に描写しておくと、後々の作業が楽になる。
昨日の予告通り、一気に完成させる。
ちょっと時間もないので、とりあえず完成画像をアップ。細部の紹介などは後日に。
昨日はデジカメの画像だったので、あらためてスキャンした骨格図の画像を。
完成した生体復元。今回もちょっと派手目で、なんだか可愛い。これも細部の画像は明日に。
今日の昼間に急遽、新しい仕事が入ってくることに。ただでさえきついのに、さらにきついオーダーが。それでもやりますとも。やってみせます。全て、ばしっと。
とにもかくにも、応援よろしくお願いします。
投稿者 corvo : 23:27
2006年5月 9日
Corythosaurus skeleton & living body 02
GWも終わり、社会復帰である。と書くとまるで遊んでいたみたいだけど、皆さんご存知の通り、黄金週間中は全く休みなくイベントに関わっていた。今日から久しぶりに、家の仕事場でじっくり制作することができる。といっても、締め切りが容赦なく迫ってくるので、手を動かし続けなくてはいけない。
制作途中であったコリトサウルスの骨格図を進める。
カラーインクのセピアで陰影をつけてあった状態から、GOLDEN FLUID ACRYLICSのイエローオーカとバーントシェンナで、さらに複雑な立体感を表現していく。GOLDEN FLUID ACRYLICSは低粘度のアクリル絵の具で、カラーインクに近い感覚で描写することができ、非常に使いやすい。
ディテールはこんな感じである。この段階までは、昨晩のうちに進めておいた。
これが、今日のお昼過ぎの段階。ホワイトを混ぜたアクリル絵の具で、明るい部分を描いていく。徐々に形が立体的に浮かび上がってくる。
肋骨の膨らみ、骨と骨との間の空間感に注意しながら描き進めていく。
そして、これが完成。なんとか一日で終えることができた。明日は生体復元だ。
上半身部分は、描いていて楽しいのだけど、どんどん疲れがたまってくる尻尾の部分は、繰り返しの描写が多くて余計に疲れる。椎体の数も、一気に倍以上に増えるし形も単純なので、ひたすらルーチンワークをこなす感じである。
残る大物は、エウオプロケファルスとコリトサウルスの生体復元図と、始祖鳥とパキケファロサウルスの骨格図と生体復元図である。これにプラス、細々としたカットが60点あまり。またまた限界に挑戦である。
順位が上がると頑張れる、かな。応援よろしくお願いします。
投稿者 corvo : 23:58
タブレット
昨日は少しのんびりしながら、部屋の片付けをしながら過ごした。資料の整理もしたいのだけど、相当な時間が必要なため、仕事をしやすいようにざっと机の上を片付けた。先月末にタブレットを買ったのだけど、机の上が酷いことになっていて、置くスペースが確保できなかったのである。これまでデジタルでの描画はやってみたことがなかったのだけど、店のデモ機などを触ってみて俄然興味が出て来た。ちょこちょこと落書きを楽しんでいる。
そのうち下手なデジタル画でもアップします。
タブレットを使い始めると、どうしてもモニターの小ささが気になってくる。今は17インチの液晶モニターなので、フォトショップなどを立ち上げると、画像の上にぱらぱらとパレットが重なってしまう。これ欲しいなあ。
この新しい画材を、まずは使いこなせるようにならないと。
投稿者 corvo : 16:47
2006年5月 8日
「恐竜の科学展」最終日
昨日、無事に「恐竜の科学展」が閉幕。総入場者数は31000人と、大丸ミュージアム始まって以来の記録らしい。昨年の同じ時期のイベント「ポケモン」が18000人だったということなので、恐竜はピカチューに勝ったのである。まあ、そんな大げさなものではないけど、イベントとして成功を収めたということは、関わったものとして素直に嬉しい。
ご来場いただいた皆様、どうもありがとうございました。
今回はいろいろ反省したり、考えさせられることも多かった。
サイン会は、僕がいる間は随時行うという方法であったのだけど、混雑が始まり希望者が殺到すると、まったく休み無く2時間以上描き続けるということもあった。多くの子供たちに喜んでもらえたことは嬉しいのだけど、あまりに時間をとられて、お客さんとも友人たちとも、ゆっくり話をする時間がなかったのが残念だった。サインをすると、書籍の売り上げが大きく違ってくるので、ついつい頑張ってしまうのだけど、別に売り上げの一部がもらえるわけでもなく、日当が出ているわけでもない。本が売れないと言われる中、こういったイベントとサイン会の組み合わせは、ひとつの販売促進の方法として考えられるだろう。ただし、対価をちゃんと支払ってもらわないと出来る物ではないが。今回は、自分の意志でやったことで、失敗もあったけど、成功した部分もあり、実際に経験したことを生かしていけると思う。
今回、販売した書籍は次のようなラインナップであった。
ティラノサウルス、恐竜、大むかしの生物、恐竜、恐竜時代の生き物たち―桑島化石壁のタイムトンネル、恐竜学がわかる。とそれほど種類は多くなかったが、特に「ティラノサウルス」はこれまでにない売れ行きだったと思う。著書でもあり思い入れも深いので、多くの人に手に取ってもらうことが出来たのが良かった。図鑑の中のイラストも多数制作しているが、自分の本だという意識はどうしても低くなってしまう。しかも、他のイラスト制作者や執筆者の分まで、販売に貢献していると思うと複雑な気分である。
復元画の売り上げは、残念ながらそれほど多くは無かった。もともと絵を見に来ることが目的ではなく、混雑時になるとゆっくり絵を見る環境ではなくなってしまうので、高額な商品の購入を冷静に判断することは無理だろう。
サインをすることにかかりっきりになると、絵を見に来てくれた人と話をすることが出来なかったことも、原因のひとつだと思う。サインをしていないときの僕は、絵の制作者だとは思われないらしく、「僕の作品です」と話しかけると驚かれることが多かった。とても不思議なのだけど、何が原因なのでだろう。
とにもかくにも無事終了。
絵の外された、展示ブース。寂しくもあり、ほっとする瞬間。
会場もつぎつぎと片付けられていく。骨格図パネルも、系統樹パネルも、結局廃棄されてしまった。自分で一度引き取って、希望者を探すことも考えたのだけど、置いておくスペースを考えると躊躇してしまった。もったいない。
今回の会場展示で、前半部分の化石やレプリカの標本展示の解説が、不十分で分かりにくいという指摘がいくつかあった。科学的に、学問的に充実した展示パネルなどがあれば、後半のロボット展示とのコントラストがより鮮明になって、子供から大人まで楽しめたのではないだろうか。
やはりイベントに関わるときは、企画の段階から参加することが重要である。宣伝美術と物販だけでしか関われなかったことが残念だった。いつかは僕の考える理想の展示を、実現してみたい。
ついでにポチポチっとお願いします。
投稿者 corvo : 23:08
2006年5月 6日
「恐竜の科学展」十日目
会期も残す所、後一日。
今朝は、昨日我が家に泊まった徳川君といっしょに、大丸東京へ出かける。今日は朝から終日、会場に詰めている日だったので、さすがに疲れた。それでも、終了後には第二回オフ会を開き、おいしく、楽しいひとときを過ごすことが出来た。
シルバーアクセサリーは、売り切れるアイテムも出て来た。
オフ会に参加のメンバー。会場で写真を撮り忘れたのです、急遽東京駅構内で。皆様、参加いただきありがとうございました。
明日は搬出。朝から車で出かけて、夕方、出品作とともに帰宅の予定。出来れば手ぶらで帰りたいので、皆様お買い上げいただけると嬉しいです。(高額商品ではありますが!)
投稿者 corvo : 23:43
2006年5月 5日
「恐竜の科学展」九日目
今日は午後から、大丸東京へ行く。午後には、恐竜骨格模型を趣味で制作しているタブリンさんがご来場。彼は大阪在住なのだけど、横浜での用事のついでにわざわざ足を伸ばしてくれたのである。お会いするのはこれが二度目。しかも、ゆっくりと時間をかけてお話したのは、今日が初めてであった。これまでもメールのやりとりや、お互いのblogへのコメントなどでコミュニケーションをとっていたので、もっと頻繁に会っているような錯覚をするのだけど、実際は二度目なのである。それでも、スムーズに話ができ、とても楽しい時間を過ごすことが出来た。
さらにタブリンさんが制作中の、ティラノサウルスの頭骨を、間近に見せてもらうことが出来た。きわめて繊細な造型物なのだけど、タオルに来るんで無造作に鞄につめてくる所が豪快である。
1/10スケールで制作しており、約15cmほど。骨格部分は栃ノ木で、歯はマンモスの牙を加工したものである。
こういった正確なミニチュアがあると、実際にぐるぐると全方向から観察することができて、とても助かる。博物館で設置されている骨格をあらゆる方向から観察することはほとんど不可能なので、こういった模型の存在は非常に有効である。
一度、自分でも作ってみて、より立体への理解を深めたいと思っている。
今日は、その他にも懐かしい面々と出会うことができて、とても楽しい一日だった。サインもばりばり描きました。
夕方には造型師の徳川君と会場で落ち合い、夕食を一緒に楽しんで自宅までお招きした。徳川君との会話も多いに盛り上がり、しゃべり通し。
ひさしぶりに、良く話をした一日であった。
昨日、紹介したティラノサウルスの骨格図の正確なサイズは、縦109cm横300cmでした。思ったよりも小さかったです。
会期も残すところ、後二日。頑張ります。
投稿者 corvo : 23:55
2006年5月 4日
「恐竜の科学展」八日目
今日は午前中に、行きつけの接骨院へ。背中、腰の硬くなった筋肉をほぐしてもらい、右手の親指に超音波とマッサージ、そしてお灸。これが効く。随分と体が楽になったところで、午後から大丸東京へ。
睡眠時間はとるようにしているのだけど、電車に乗って席に座ると睡魔に襲われる。疲れている。
東京駅の地下で、軽く昼食を済ませてから12階へ上がる。随分と東京駅も詳しくなってきた。新しい食べ物屋を開拓するのはなかなか楽しい。
昨日ほどではないが、入場者数も順調に伸びている。会場に着いてからサイン会を開始。今日もひたすら描く。
それほど特筆することはないので、この辺で。
絵は、たくさん売れ残っています。欲しい方は是非!
そして、6日土曜日はオフ会です。
展示室の中に、大きく引き延ばされたティラノサウルスの骨格図があるのだけど、会期終了後には廃棄されてしまう。なんとか有効利用することは出来ないかと考えている所。もったいないよね。
気がついたら、ポチポチお願いします!
投稿者 corvo : 22:22
「恐竜の科学展」七日目
今日(3日)は午前中に、上野の白山眼鏡店へ、注文しておいた仕事用眼鏡を取りにいった。以前の記事で書いた通り、近い場所の焦点が合いにくくなってきたため、細かい仕事に対応した特別な眼鏡が必要になったのだ。この店は、本当に対応が細やかで、新しい眼鏡は時間をかけてフィッティングしてくれる。耳にかかる部分を微妙にカーブさせ、圧迫感がなく、ずり落ちにくいようにベストの状態に調整していく。驚くのは、2、3回の修正だけで、ほぼ完璧なかけ心地を実現してしまうことだ。この辺りのノウハウには、非常に熟練したものがあるのだろう。
仕事場でしか使わないし、ほとんど人前で見せることはないのに、こんなお洒落なフレーム。近い場所を見るために限定されたレンズで、このまま遠くを見るとぼやけてしまい、そのまま無理をして焦点をあわそうとすると目が悪くなってしまうという危険なものでもある。
少し使ってみたが、ディテールを突き詰めていく作業には、ほんとうに快適である。頻繁にかけ直さなくてはならないが、なくてはならない道具のひとつになりそうだ。
上野を出た後、大丸東京へ移動する。
「恐竜の科学展」も後半に突入。今日から祝日ということで、多くの人手が予想されたが結果的には、4800人という記録的な入場者数であった。
午後には大丸に着いたのだけど、エレベーターも混雑しており、12階のミュージアムに移動するのも一苦労。入場制限のため階段で待っているお客さんの隣をすり抜けて、ようやく会場へたどり着くことが出来た。
今日のサイン会は、昼食を済ませた午後1時30分ぐらいから始めたのだけど、ほぼ切れ目なく4時ぐらいまで描き続けることになってしまった。皆さんに喜んでもらうのは嬉しいのだけど、サイン会を開くことは、僕にとってほとんど直接的なメリットはない。既に出版されている書籍は、印税もしくは原稿料をすでに受け取っている。たくさん売れることで、重版がかかれば印税が入ることになるが、印税契約をしていない書籍もある。もちろん、サイン会ということで、日当を受け取っているわけではない。全て、僕の意思で行っているものである。
そのため、僕の関係した書籍を買っていただいた方にだけ限定で、イラスト入りのサインをすることにしている。時々、「他のものを買ったのだけどサインをしてもらえますか?」というお客さんがいるが、そこまではとてもではないが対応できない。どうか、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
これで、ばんばん絵も売れればいうことないのだけど、高額な商品なためそうもいかない。かなり苦戦中である。
サインに添えるイラストは、あらかじめリクエストを受けて、出来る限り希望に添うようにしているのだけど、順番が回って来てもなかなか決められない子供がいる。特に、後ろに列が出来ているときは、こちらもヒヤヒヤである。並んでいる間に「決めておけ」と言いたい。散々、迷ったあげく「じゃあ、ティラノ」とか「トリケラトプスでいいや」とか言われると、実は本当に腹が立つ。これからいいものを描こうとしているときに「じゃあ」とか「〜でいいや」とか、その投げやりな態度には、がっかりさせられる。また、せっかく描いていても、全然見ていない子供も嫌である。なんといっても一番だめなのは、最後に「ありがとう」が言えない子供。言わなきゃ、言わなきゃという気持ちが先走って、手渡す前に「ありがとうございました!」と言ってしまう、微笑ましい子供もいるのだけど、親に促されても「ありがとう」の一言が出てこない子供がいる。
それでも、喜んでくれる大多数の子供たちのために、ただひたすら手を動かすのである。
帰宅後は、残っている仕事を片付ける。全然、終わらない。
こんな感じのカットを、60点ほど描かなくてはならない。しかも、この線描の上から透明水彩で着色もしなくてはならない。ない時間をやりくりして、少しずつでも進めておかなくては、締め切りをクリアーすることができないだろう。
明日4日も、午後から大丸東京の会場へ行きます。
目指せベスト3。だんだん遠くなってきました。応援よろしくお願いします。
投稿者 corvo : 00:24
2006年5月 3日
ここ数日の出来事2
今回は、「恐竜の科学展」の展示の様子について少し紹介。会場は撮影時自由なので、他にもblog等で公開されている方も多いかもしれない。
最初に入場すると出迎えてくれるのが、このトリケラトプスの頭骨レプリカ。実際の化石は保存状態が非常に良かったと思われるが、これまでに見たトリケラトプスに比べて、変わったフォルムをしているように思う。トリケラトプスの頭骨は、比較的多く発見されているが、論文などで見た図版等と比べても違った特徴が見られる。
眼窩からくちばしまでが短く、逆にフリルが大きい。今まで見た物は、全て逆のプロポーションだったように記憶している。また、左右の目の間が広い。これは、化石が左右からつぶれておらず、良好な保存状態であったためとも考えられる。以前、トリケラトプスの復元で協力してもらった藤原君とも話したのだけど、彼も不思議なフォルムという印象を持ったようだ。
側面から見ると、そのプロポーションの特異さがはっきり分かる。
論文に記載された図版と比べてもらうと、より一層その違いがはっきりすると思う。側面から。
前面から。
カマラサウルスの頭骨レプリカ。左右から、かなり圧縮されて変形しているが、360度周りから観察することができ、質の高いレプリカ標本であることが分かる。
恐竜の系統樹。このイベントのために短い時間(もう無茶苦茶なスケジュール!)で友人のデザイナーが制作してくれたもの。最新のデータを踏まえて、平山廉さんの監修のもとにまとめられている。僕のイラストもシルエット的に使用されているのだけど、手元にあった物を使ったため、ちょっと不自然なところもある。次回は、もっと時間をかけて完璧さを求めた系統樹制作に参加したい。
今回の目玉の一つである、アロサウルスの全身骨格レプリカ。非常に精巧に作られたレプリカのようだ。ただ、ポーズがちょっと不自然で、尻尾が大きく曲がりすぎていて、胴体も緩くカーブしている。アロサウルスの尾椎は、前後が深く関節するようになっていて、左右への可動範囲には大きな制限がある。実際はほぼピンと伸ばした状態だったと思われる。
また、胴体がほ乳類のように可動することは、構造上考えられない。この標本には腹肋骨がないが、腹肋骨と肋骨でかご上に組合わさった胴体が、左右に動くことはないだろう。首の付け根から、骨盤までは固定された強固な構造であったはずだ。
後半はココロ社の動刻の展示である。ひっきりなしに声を出していて、12階のフロアに一日中響き渡っている。お客さんが多くにぎわっているときは良いのだけど、閑散としてくるとけっこううるささが気になる。中生代の地球は、いつもこんな感じだったのだろう。
首長竜の動刻。首を動かしながら、顎で魚を捕まえるような動作をする。展示準備中、フロアに造作の材料を撒いていたスタッフが、頭をかすめる首長竜の顎に向かって「咬まれる、咬まれる」と叫んでいたのがおかしかった。
歯が鋭いので、動刻といえどもかなり痛いだろう。
ティラノサウルスの頭部。やはりでかい。出会いたくないものである。そのとなりには、レプリカの頭骨が展示されている。頭骨はもっと見やすく設置してほしかった。特定の方向からしか観察することができない。ティラノサウルスのきちんと口の閉じる動刻を作ってほしいと思う。歯が常にむき出しであることは、陸生の動物として絶対におかしい。全面的に協力するので、是非お願いしたい。
ヴェロキラプトル。これがなかなか恐い。ロボットの機構を入れるため、実際の大きさよりも、若干大柄な感じがするが、そのパターンを読めないランダムな動きには恐怖を感じる。
全体としては、こんな感じです。興味のある方は、是非ご来場ください。
3日の日は、お昼頃には会場にいる予定です。4日、5日も午後からの予定で、6日、7日は終日詰めています。
僕を見かけたら、気軽に声をかけてください。よろしくお願いします。
ポチポチっとお願いします。
投稿者 corvo : 01:57
2006年5月 2日
ここ数日の出来事1
ちょっと時間が前後するのだけど、「恐竜の科学展」の準備のことや、信善くんの個展に伺ったときの出来事など。
まずは前回の記事でアップできなかった、信善くんの個展の画像。
これは脱皮途中のティラノサウルス(写真では分かりずらいですね)。鳥に近い生態であったといっても、大型化して体表がウロコで覆われていたとすると、成長するために脱皮したと考えることが自然だろう。ただ、これだけ大きいと一気に脱皮するというよりも、じょじょに古い皮が剥がれ落ちていったのかもしれない。飼育されているグリーンイグアナを見たときも、部分的に脱皮し、場所によってはまとまって剥がれるところもあった。そんな中途半端に古い皮の残ったティラノサウルスを復元したのが、この模型である。
ふざけて、皮(服)を脱ぐ信善君をリクエスト。できれば、もう一皮いってほしいところ。
このギャラリー、青山の本田本社の近くにあり、静かで趣のあるたたずまいを見せている。静かと書いたのだけど、会期中は前の道路で工事をしておりその脇を通らねばならず、ギャラリーにたどり着くのにちょっと躊躇するような状況だった。でも、本人曰く大成功ということでなによりです。
三次元で復元された古生物の模型には、非常に有益な情報がある。僕自身も復元画を描くときに、参考にするときも多く、もっと多くの人が挑戦してみても良いのではないだろうか。科学的に正確な復元模型を作る造型師に、どんどん出て来てほしいと思う。それに、復元画を描く人にももっと増えてほしい。
そんな想いもあって、このblogでは出来る限りの情報を公開している。時々、馬鹿なことも書くけど、どんどん参考にして自分なりの復元に挑戦していってほしい。
以前にも書いたかもしれないけど、僕の復元手法には、なんの企業秘密もありません。いつでも質問ください。
順位上げたいです。ポチっとなと、応援よろしくお願いします。
投稿者 corvo : 23:37