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2006年1月31日

Tyrannosaurus skeleton & living body 05

今日は、まず出来上がったエスキースを、イラストボードに転写する。
使用するイラストボードは、BBケント細目の1mm厚である。
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その準備として、トレーシングペーパーにアウトラインを鉛筆でトレースしていく。この作業は、正直なところあまり好きではない。でも、どの線を選び取るかは、自分でしか分からないので、黙々と作業を続ける。
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即席カーボン紙を作り、写した線が分からなくならないように、赤ボールペンで筆圧をかけて転写する。写真では分かりにくいと思うが、右側がイラストボードに転写されたイメージ。
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転写した後、少し修正を加える。その後、アクリル系のカラーインクを使って、陰影を意識しながら面相筆で描いていく。この段階でのシルエットは、完成とほぼ同じになるので慎重に筆を運ぶ。修正の効かない素材は好きだ。この緊張感が嬉しい。消しゴムなどでいつでも消せるとおもうと、今ひとつ集中力に欠けてしまう。よほど、怠け者だということだろう。
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夕方近くになると、お腹を空かせた飼い猫が、ご飯をねだって邪魔しに来る。貴重な資料の上も、僕の描いたものの上も、まったくお構いなしである。
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骨格全体にカラーインクで濃淡をつけた状態。油彩では、この状態のことをグリザイユという。この濃淡を元に、さらに明るい部分と、暗い部分を描いていき、細部を詰めていくことになる。ここからが楽しい。
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頭部のディテール。ディテールと言っても、大まかに光をとらえた描写。ここまで来ると、形態の大きな修正はない。
明日は、別の仕事を片づけなくてはならないので、どこまで進められるか。
本当にここからが、楽しいでのである。
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投稿者 corvo : 23:55

2006年1月30日

Tyrannosaurus skeleton & living body 04

今日は激動(たいしたことないけど)の中、昨日の骨格図を修正した。
携帯水没に、やや動揺しながらも、手を動かす。やはり後肢がすいぶん短かった。
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だいぶ、満足できるところまできた。ただ、少し迷っている。
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前回の物も、捨てがたい。こっちのほうが、迫力があるかな。
明日には決めなくては。基本的には、上のエスキースでいく予定。
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投稿者 corvo : 22:34

携帯水没

今日は朝から、激動(たいしたことではないけど)の一日。朝から電話で、急遽、打ち合わせが入る。午後から護国寺で打ち合わせの予定があったので、その後、池袋で落ち合うことになった。色々と予定を組み立てながら、トイレに入ったのだけど、部屋着のフリースのポケットに入れていた携帯が、するりと逃げだし「ぽちゃん」と。さらに「ぴろりん」という電子音。今、思うと断末魔の叫びだったのだろう。
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デュシャンの言うところの「泉」。用を足す前だったので、一応綺麗。どうにも、vodafoneに変更してから、僕の携帯は水難の相が出ているのかもしれない。これで4台目なのだけど、最初の2台は洗濯機に絶命させられ、3台目は泉の中にダイブである。
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これが、ダイブした証拠写真。レンズにびっしりと水滴が。もう少し、防水性能を持たせてほしい。引き上げるまで5秒程度だったと思うのだけど、もうどうにもならない。
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左が土左衛門。右が新しい機種。同じ、シャープで探したので、ほとんど説明書を読むことなく操作できる。
一つ腹立たしかったのが、データの移行。水没した携帯のデータは、SDカードに保存出来たのだけど、新しい機種はminiSDカードとなっており、直接本体に挿入することができない。ボーダーフォンショップで対応できるものだと思っていたら、カード内のデータを転送するシステムがないというのである。アホか。同じメーカーの携帯電話で、デジタルデータを移行するだけである。それができないと。全く馬鹿馬鹿しい。miniSDカードからなら、アダプターを使ってSDスロットに挿すことが出来るが、その逆は物理的に無理である。しかし、これぐらいのこと、最初から想定していないのだろうか。想定の範囲外なのだろうか。理解できません。
家のMacとカードリーダーライターを使ったら、あっさりデータの移行が出来てしまった。もちろん、なんのソフトも使わずにOS上でドラッグ&ドロップを繰り返しただけである。
こんなことがシステム化されていないとは・・・・・・。開いた口がふさがりませんでした。
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投稿者 corvo : 21:24

2006年1月29日

Tyrannosaurus skeleton & living body 03

ようやく、エスキースが一応完成。ちょっとポーズが固いかな。
まだポーズは少し動かしていくつもり。Tyrannosaurus rexを描くことは、あらためて思ったのだけど非常に難しい。生物として、なにもかもがアンバランスに思える。いまだに、バランスをつかめずにいるというのが正直なところ。
今、友人のタブリンさんや、ふらぎさんTyrannosaurus rexの復元にトライしているのだけど、同じような点で悩んでいる。ネットを使って、相互に情報交換しながら、進めているのだけど、なかなか正解が見えてこない。もちろん正解など、どこまでいってもないのだけど、ほんの少しでも良いから、真実を垣間見たいと思うのである。
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コピー用紙に鉛筆(H、F、HB)。後肢が短く見えるなあ。バランスが悪い。明日は、トレースをすませて、着彩まで行く予定。昼間、打ち合わせもあるので、効率よく進めなくては。
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投稿者 corvo : 23:40

2006年1月28日

Tyrannosaurus skeleton & living body 02

実際の作業は数日前なのだけど、今日のアップになってしまった。色々、立て込んでいます。
ポーズを換えるため、新しいエスキースを描き始めた。コピー用紙に鉛筆で制作していく。どうもコピー用紙の場合、Hぐらいの硬さの鉛筆が適しているようだ。コピー用紙でエスキースを描くときは、いつも水性ボールペンを使っていたので、鉛筆との相性までは確認できていなかった。このエスキースに、あまり時間をかけるわけにはいかない。スケジュールが、押せ押せだ。
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先日、国立科学博物館で取材してきた写真を利用する。カメラのレンズの焦点距離が広角なので、若干、手前の図像が大きく映る傾向がある。少し頭の中で補正しながら、描いていく必要がある。とは言っても、厳密に出来るわけではないので、感覚に頼る部分である。
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頭骨部分の制作。写真を利用すると、一眼でしか対象を見ていないので、少しでも角度がずれると情報が欠落してしまう。他の角度から撮影した写真や、論文の図版を活用して、欠落した情報を補完していかなくてはいけない。
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ほぼ完成した頭骨部分。
明日には全身、描ききってしまいたい。できれば転写までは、済ませたいところ。急がねば。
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投稿者 corvo : 23:39

2006年1月27日

ニホンオオカミ

今日は、非常勤講師の後に、国立科学博物館へ科博ニュースのイラストを届ける。
その時、教えてもらったのが、この小規模の企画展示「科博・干支シリーズ2006戌展」である。本当に小さな展示で、メインは「忠犬ハチ公」と「南極観測犬ジロ」の剥製なのだけど、なんといっても貴重なのは「ニホンオオカミの全身骨格」だろう。
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展示されていた、ニホンオオカミの全身骨格。思ったよりも小さい感じがする。
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こちらは、昨年の秋に神奈川県立生命の星・地球博物館に行ったときに撮影した、現生のオオカミの全身骨格。ニホンオオカミに比べて、足が長く身体も大きい印象だ。
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ニホンオオカミの頭骨。今のオオカミに比べると、吻部が短いように感じる。

犬は長い年月をかけて、品種改良が進んできた。ここに紹介する頭骨が、全てオオカミを起源とする動物とは思えない。
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左が秋田犬、まだオオカミに近いプロポーションをしている。右はボルゾイ。非常に細長い。
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左がブルドックで、右がペギニーズ。短頭種と呼ばれる犬たちの頭骨は、もはやオオカミとは似てもにつかない姿である。
ペギニーズに至っては、大きさもかなり小さい。

この展示、あまり宣伝されていないようで、知名度が低いらしいのだけど、最終日は29日。いつも急なお知らせで、申し訳ありません。ニホンオオカミの全身骨格は一見の価値ありです。
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昨日から、日本ブログ大賞「イラスト部門」にエントリーしました。気が向いたら、応援よろしくお願いいたします。

投稿者 corvo : 22:48

2006年1月26日

ヌードクロッキー2

昨日の夜、mixiで知り合った画家、大河原愛さんの主催するクロッキー会に参加してきた。午後6時から9時までと遅い時間であったが、銀座の貸しアトリエでの開催ということで、家から比較的、行きやすい場所である。平日、仕事帰りに寄る方もいるらしい。
雑居ビルの中にある貸しアトリエは、美術予備校の雰囲気もあり、外の銀座の景色とはまったく異質な空間である。ここで、裸の女性を囲んでクロッキーするのだから、不思議な気分である。今回のモデルさんも、実にプロフェッショナルで雰囲気作りの上手い方だった。
昼間、家で仕事をしてから行ったので、手も良く動く。前回は朝からということもあって、なかなか身体が目が覚めるも時間がかかったのだけど、今回は最初から調子が良かった。
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まずはBの鉛筆で。5分ポーズ。全体の流れをとらえ、構図に注意する。
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水性ボールペンで。指先など、ディテールにも気を使いながら、形をとらえることに重点をおく。
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今度は太い鉛筆で。光と陰のバランスで、量感を描くことを目標にした。
様々な素材を使うことで、紙が変わるごとに、違う課題を試していく。いつも同じパターン、同じ素材で描いてしまうと、描くことが惰性になってしまう。
この日のクロッキーは、合計22枚。もっと、もっと、巧くなりたい。
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投稿者 corvo : 21:29

2006年1月25日

Tyrannosaurus skeleton & living body 01

今日から、ある出版物のメイキングを紹介する。
これまで、ちらほら書いてきた企画とはまったく別のところのもので、この夏に刊行予定の子供向けの一冊である。出版社から、このblogでプロセスを紹介することを快諾いただいたのだけど、本の詳細や出版社については、発売1ヶ月前にならないと公表できないので、その点だけはご了承下さい。

この本では、骨格図と生体復元図の両方を、掲載することになっている。そこで、まず最初にTyrannnosaurusから始めることにする。もっとも身近にある標本ということで、モデルにするのは「スタン」である。生体と同じポーズにするため、骨格図を真横からは描かない。ポーズは、それぞれの恐竜にあったものにしようと思っている。真横からでないため、正確な骨のプロポーションを描くのは難しいが、活き活きとしたスタイルの骨格図になることを目指して制作する。
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文献資料、取材して撮影した写真を見ながら、鉛筆でエスキースを制作。紙はA3のコピー用紙をつなげたもの。幅はおよそ50cmである。
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このエスキースをトレーシングペーパーに、輪郭を写し取る。
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トレーシングペーパーの裏を鉛筆で塗り、即席のカーボン紙をつくる。その後、別の紙(この時はBBケントの細目)の上にトレーシングペーパーを置いて、慎重に輪郭をトレースしなおして転写していく。

ここまで、作業を進めていたのだけど、どうにもポーズが気に入らす、まったくやりなおしてしまう予定。
子供向けとはいえ、上質な本にしたいと思っている。時間の許すかぎり、妥協せずに描いていこう。
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投稿者 corvo : 14:21

2006年1月24日

背骨

アメリカからの輸入牛肉に、背骨が混入していたという。
「混入」という言葉から、骨片のような小さなものが混じっていたのを、勝手に想像していたのだけど事実は全く違ったようだ。
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この画像は、22日付け日本経済新聞朝刊の3面に掲載されていたもの(掲載に問題がある場合は削除します)。左の写真の矢印は、背骨の一部を指しているだけで、混入したものが小さな印象になるような意図を感じる(ただし、あくまでも僕の個人的な主観であるが)。右の画像は、この写真の背骨を線で囲ってみたもの。この大きさのものが、チェックされずに素通りするということは、何もなされていないと考えても良いだろう。実際この件については、アメリカ側の業者に危険部位であるという認識は、全くなかったということらしい。

背骨ついでに、哺乳類の背骨と、竜脚類のものを比べてみると、大きな違いがある。このことは、平山廉さんが著書「最新恐竜学」でも書いているのだけど、椎体と神経棘突起のプロポーションが、まったく違うのである。哺乳類の椎体は比較的小さく、神経棘突起が長い。竜脚類はその逆である。このことから、哺乳類は筋肉などの軟組織で積極的に身体の構造を支え、可動域の大きい運動性を獲得しているといえる。一方、竜脚類は骨でがっちりと身体を支え、身体の可動域は大きくないが、少ない筋肉量で巨体を支えていたと考えられる。

新聞に小さく載った骨を見ながら、いろいろと考えてしまうのであった。
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投稿者 corvo : 23:56

2006年1月23日

ゲルハルト・リヒター展

昨日は佐倉の川村記念美術館まで、友人と車で出かける。雪で行けるかどうか、心配だったのだけど、前日の雪かきのおかげもあって無事行ってくることが出来た。22日が最終日だったので、この日を逃すともう見に行くことが出来ない。美術館のある佐倉市は、自宅の近くに比べると幾分、雪が深いように感じた。
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この美術館には、何度も訪れているが雪景色は初めて。美しい。

ここは常設展も充実していて、20世紀美術を俯瞰できるような作品が揃っている。印象派、キュビズム、構成主義、抽象表現主義、シュールレアリスム・・・。20世紀美術ではないが、レンブラント、長谷川等伯(等伯を変換してくれなくて、ATOKにがっかり!)もコレクションしている。

リヒターの展覧会はこの美術館では二度目である。ただし、今回は回顧展であり、彼の多用な画風を揃えた充実したもの。全体の作品数が少ないため、もの足りない感じもするが、各時代の質の高い作品を見ることができた。時系列で展示してくれると、もう少し見やすいかなとも思ったのだけど、展示スペースを考えると、これがベストだったのだろうと思える。キャプションにも工夫がこらされており、床に設置された作品との境界を示す三角の木材に、作品のデータが書かれている。ニュートラルな壁面で、画面だけに集中することができる。意外と、壁のキャプションは鑑賞の邪魔になるものだと思う。ついつい作品のタイトルや、データを見てしまうことで、余計な考えが頭に浮かんでしまう。
リヒターの作品の多くは、額に入っていないため、直接画面を見ることが出来る。本当はもっと間近で見たかったのだけど、展示監視員の目が光っていて、神経質なほど注意をしていた。
彼の具象作品は、全て写真をベースに制作されている。単眼でとらえられた世界だ。そして、ピンもぼけている。ブラシストロークにとても気を使っており、的確で無駄なタッチがない。物質としての完成度の高さも素晴らしい。
大画面の抽象画が、思った以上に良かった。色彩とテクスチャーの氾濫が、様々なイメージを生み出し、長時間、眺めていても全然飽きない。また、全身を包み込んであまりある画面の大きさが、圧倒的な存在感を放っており、このサイズでなければならない必然がある。
「11枚のガラス板」は、本当に面白かった。まさにリヒターの具象絵画の再現である。作品の前にたつと、輪郭がぼやけて、存在が曖昧になった自分の姿と展示空間を見ることになる。刻々と変わる、ガラスの中のイメージが、時間の経過とともに揺らぎ続ける感覚は、新鮮でひょっとしたらリヒターに見えている世界なのかもしれない。
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美術館を出た後の、風景。空が、リヒターの描く空の絵のようだった。グレーと雲の白の対比が美しかった。大変、満足した一日だったのだけど、さすがに風邪の影響で体調は最悪。

いつもながら、最終日のレポートですみません。
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投稿者 corvo : 23:58

ミヒャエル・ゾーヴァの世界展

先週土曜日の雪で、風邪気味だったものが、本格的な風邪になってしまった模様。つらいです。
そんな体調ながら、土曜日は午後から六本木まで。SCBWI主催のランチに参加するため。12人ほどの集まりで、和やかな雰囲気のランチでした。
友人の絵本作家数名と、日本で外国人向けの図書館に勤める人たちが参加。SCBWIは子供向けの本のための組織なので、図書館でも日本の絵本に関する関心は非常に高いようである。一番、問題になっているのは、翻訳されている書籍が少ないこと。日本の出版社には、在日外国人のための翻訳本も出してほしいというこだった。
また、翻訳されたものでも、対象年齢にあわせた翻訳になっていないことが多く、アンバランスなことが多々あるらしい。これは、お互いにそういったケースがあるそうだ。
ティラノサウルス」を通訳してもらいながら、プレゼンしたのだけど、恐竜は子供たちに人気があり、常に本は不足しているので、是非、翻訳本を出してほしいということだった。決して多くないとはいえ、確実に需要が見込める部分ではないだろうか。そのまま輸出することも出来るだろうし。

ランチの後、友人に誘われて銀座(松屋銀座8階大催場)で開催中の「ミヒャエル・ゾーヴァの世界展」を見に行く。全然、その名前を知らなかったのだけど、映画「アメリ」で彼女の部屋にかかっていた絵や、電気スタンドを制作した作家だった。大きな画面のものもあったが、多くは小品であった。精緻なタッチで、正確なデッサンで描かれた空間と、創造されたキャラクター-時にはサルモネラ菌まで!が、静謐な画面に、それでいて活き活きと描かれている。
全ての絵から、そこはかとないおかしさがこみ上げてくる。友人と画面を指さして笑いながら楽しんだ。なのに、会場は驚くほど静か。もっと笑いながら、お喋りしながら楽しんでもいいのに。
1月18日から23日までという短い会期。もう、今日までですね。
もっと大々的に、大きな会場でやるべきだと思うのだけど。充分、集客できるはず。
土曜日もかなりの混雑だった。

家に帰ってから、駐車場の雪かき。これをやっておかないと、日曜日に車を出すことが出来ない。いい汗かきました。
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投稿者 corvo : 11:42

2006年1月22日

スパムコメント

風邪をひいてしまい、体調最悪です。
ここのところ、あまりにスパムコメントが酷いので、古いエントリーはコメントを書き込めないようにしました。
さかのぼって読んでくれた人が、古いエントリーにコメントできるようにと考えていたのですが、毎日数十通を超えるスパムコメントが何度も書き込まれるため、一週間をめどにコメントの書き込みをクローズすることにしました。
最新のエントリーから、一週間の間はコメントは自由に書き込めます。
これからも、どうかよろしくお願いいたします。

投稿者 corvo : 19:16

2006年1月21日

美術手帖「マンガは芸術(アート)か?」2

続きを書くと言いながら、一日あいてしまった。
どうもうまく、まとまらない。
先日、友人の出版関係者と打ち合わせの時、挿絵について話をしたのだけど、挿絵を漫画家に依頼すると、ある場面の全てを絵で説明してしまうため、イメージの広がりを失うことが多いということであった。もともと絵で物語を紡ぐことを目的にしている漫画家にとって、自然な行為なのだと思う。しかし、これでは一つの本の中に、ふたつの物語で並列して存在してしまうことになる。
挿絵に要求される、スキルは別のところにある。文字として書かれていない世界を、読者の想像力を刺激するように描く。僕自身、挿絵を描いた経験が多いわけではないが、こういった事を心がけながら制作している。今週から「トリトン航海記」のインターネット配信が始まり、一週間で2点の挿絵を制作していかなくてはいけない。一回に配信される原稿量はそれほど多くないのだけど、一つの場面を選ぶことは難しい。どの場面を選ぶか、連載中のリズム感、読者のイメージを裏切らないようにすること・・・。僕は子供の時から、「お話の絵」を描くことが大好きだったので、挿絵の制作にはむいているかもしれない。
これから、どんどん挑戦していきたいと思うので、出版社の方、又は作家の方、これはと思ったら声をかけてください。よろしくお願いします。

今回の美術手帖の、「境界線上の開拓者たち-藤端正樹」も面白かった。デジタルとアナログの関係を、これほど明確に語れる作家は他にいないかもしれない。
もう少し、読み込んでから、感想を書いてみたいと思う。
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投稿者 corvo : 22:11

2006年1月19日

美術手帖「マンガは芸術(アート)か?」1

本当に久しぶりに、美術手帖を買った。この号の巻頭特集は「マンガは芸術(アート)か?」。80ページ以上に渡る、力の入った特集である。
ただ、カラーページで扱われている3名の漫画家のことを、僕はあまり知らなかった。美大やアートスクールで、デザインや絵画の訓練を受けたことのある、漫画家というよりはイラストレーターに近いメンバーだと感じた。
他に紹介されている漫画家も若く、商業誌で売れているヒットメーカーたち。年齢を見ると多くが僕と同世代だ。ただ、どういった基準で選んでいるのか、よく分からないところがある。サブカルチャーとしてのマンガに焦点を当てる意図が強いのかもしれない。あくまで推測だけど。
日本のマンガ業界は大きく、文化産業としても成熟していると思う。一方の現代美術業界は、経済的自立はおろか、文化産業としては、ほとんど成立していないのではないだろうか。
「マンガは芸術(アート)か?」と問われれば、芸術たりうるマンガも存在していると言える。逆に芸術だと言いながら、マンガの一こまに劣るものも、数多くあるだろう。
僕もマンガが好きで良く読むし、買っている。読みたい物を全て買っていると、際限がなくなるし、置き場所にも困るので、かなり厳選して買っているのだけど、ほぼ毎日のコンビニでのマンガ雑誌の立ち読みは、20年近く欠かしたことがない。
古生物の復元画を描くようになって、9年ほどになるのだけど、最初、画面の中に物語を描くことが、なかなか上手くできなかった。自称「現代美術作家」であった僕は、画面の中に物語を持ち込まないことを考えていた。それで、どんな効果があったのかと思い起こしてみると、どうもうまく説明できない。物語性を排除することは、そんなに重要なことだったのだろうか、と疑問のほうが多く出てくる。それほど、制作することに対して、自覚的でなかったのだと反省するばかりである。
ちょっと、横道にそれてしまった。復元画を描くということは、画面の中に流れる時間を描くことでもある。その場面に至るまでに何が起こったのか、そして、そこから何が始まろうとしているのか。それが実際の出来事とは違う茶番であったとしても、一筋のリアリティを求めて、その場面を描こうとするのである。これはマンガの発想に近いと思う。
マンガが描き出す、時間を含めたリアリティには、学ぶところが多い。しかし、絵画も元々は物語を含んだ、エンターテインメントとして成立していた。僕自身、復元画を描くようになってから、物語、時間ということを強く意識するようになってきた。これは、復元画以外の作品の時も、同様である。

ちょっと、とりとめがなくなってきたので、続きは後日に。
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投稿者 corvo : 22:55

2006年1月18日

竜脚類の死因2

昨年末から、竜脚類の復元についてのアイデアを、いろいろ考えているところである。
昨年、このblogでも竜脚類の死因について書いたのだけど、今回のもののほうが合理的で、的確なアイデアではないかと思っている。
生物の身体のデザインは、厳格なコスト管理の上に成立していると言うことが出来る。食物によって得られるエネルギーと、それを獲得するための運動能力。それらを維持していくためのシステムの効率化。こういったことが密接に関係しながら、生物の身体のデザインが決定されている。
生物のデザイナーが「神」であるならば、神様も常に生物のコスト管理に頭を悩ませているのである。
勇壮に首を上げる竜脚類ー特にブラキオサウルスは、文句なくかっこいい!しかし、彼らの身体の構造では、あの姿勢を維持することは不可能だ。それもこれも神様が、コストをけちったからである。
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下の絵は現生のウマであるが、最初、デザイン担当の神様は、こんな姿勢のブラキオサウルスを夢想したのだろう。なんといってもかっこいいから。しかし、当時の恐竜たちの代謝能力は、お世辞にも高いとはいえないものであった。この姿勢を維持するには、エネルギーが足らないのだ。そこで、構造設計担当の神様に相談したところ、骨を軽量化すればよいということになったのである。
まさに徹底したコストダウンである。
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図を見てもらっても分かるとおり、隙間だけらけで、薄い骨で匠に組み合わされた構造をしている。まさに極限の軽量化である。確かにこれで、代謝能力との兼ね合いはとることができた。だが、あまりに軽量化を進めたため、勇壮に首を上げる姿勢をとることは、強度的に出来なくなってしまったのである。
しかもあろうことか、首を下げた姿勢でも、ぎりぎりの強度になってしまい、きわめて脆弱な動物になってしまったのだ。

大きく成長したブラキオサウルスが、アロサウルスから直接、襲われることはなかったが、アロサウルスはこの脆弱な動物の弱点をつく、巧妙な狩りの方法を知っていた。
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まず、ブラキオサウルスの周りを取り囲み、どたどた振動を与えながら走り回るのだ。やがて、地面と共鳴し地震のような状態がつくられる。なので、地盤の弱いところへ誘い込むのも重要な点である。そして、震度が「5」を超えたとき・・・
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あわれブラキオサウルスの首の骨は、もろくも崩れ去ってしまうのだ。労せずして(少し走り回るのにエネルギーを使うが)アロサウルスは、獲物の肉を手に入れることができるのである。

毎度のことではあるが、よもや賢明な読者が信じることはないと思うが・・・・・・
お馴染みの馬鹿話でした。
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投稿者 corvo : 00:07

2006年1月17日

ラジオ出演

本日、夕方のラジオ出演、無事終わりました。
5分ほどでしたが、インタビュアーの的確な質問のおかげで、スムーズに話をすることができました。
イブニングキューブサイト内の、18時20分の三重情報の内容はコチラ!をクリックしてもらうと、インタビューの内容をまとめた物を読んでもらうことができます。
18年間を過ごした三重ですが、そのころはまったく恐竜にも古生物にも、興味がありませんでした。博物館に行った記憶もほとんどなく、もっぱら美術館通いでした。なので、僕の復元画を見てくれている人のほうが、ずっと長く恐竜ファンを続けているということが多々あります。

昼間は仕事をしながら、証人喚問を見ていたのだけど、実に胸くその悪くなる内容だった。
美意識のかけらもない。醜悪で、画面から腐臭が漂ってくるようであった。

そんな環境で絵を描くのは、あまりほめられたものではありませんね。
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投稿者 corvo : 23:44

サイト更新

昨年、秋から予告し続けていたサイトの更新が、ようやく出来ました。
お待たせして、すみませんでした。

1. トップページの絵が変わりました。狼の生体の横顔です。
2. galleryのcontemporaryの作品、1994年から1997年までの作品をアップしました。精神的にも経済的にも、一番苦しかった時期の作品です。古生物の復元とは、まだ出会っていない時です。
3. workshopのprojectに「絵本「ティラノサウルス」が出来るまで」をアップしました。絵本の制作プロセスに加えて、関係者のインタビューも掲載しています。

充実した更新になったと思います。楽しんでいってください。
ご意見、ご感想などいただけると、とても嬉しいです。

今日から「トリトン航海記ー水口博也著」のインターネット配信も始まります。週2回の配信で、毎回、僕の挿絵がつきます。20週にわたって、計40点のイラストを制作します。有料サービスですが、興味のある方は是非、ご購読いただければと思います。
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投稿者 corvo : 10:09

2006年1月16日

ラジオ出演(予告)

明日17日にFM三重の番組に、5分だけ電話で出演することになりました。
「古生物アーティスト」という肩書きで、仕事の内容や、これからの展望などについて、電話でインタビューを受けるというものです。
イブニングキューブ。出演予定時刻は、18時20分です。
以上、ちょっとしたお知らせでした。
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投稿者 corvo : 23:21

アカデミアプラトニカ

日曜は、土曜日の荒れた天気から一転、気持ちの良い晴れ。
昼から妻と水戸へ出かける。気温も上がってきて、車での移動だと暑いぐらい。高速道路も空いていて、気持ちよく走れる。途中、寄ったサービスエリアで、フェラーリとランボルギーニを見る。フェラーリはテスタロッサ、ランボルギーニはネットで調べたところMurcielagoだろうか。
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速い車は、後ろ姿が美しくないといけない。抜いていくばかりだから、他の車が見ることができるのは後ろ姿ばかり。ほんの一瞬ではあるが。だからこそ、リアに印象的なデザインが求められるのだろう。
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どちらの車、走る姿、エンジンの音を聞けなかったのは残念。ランボルギーニはハンドル奥にパドルシフトが付いていたので、セミオートマチックだろう。実際は幅も、長さもかなりあると思うのだけど、デザインのせいかコンパクトに見える。
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水戸芸術館に着くと、ちょうどパイプオルガンの演奏が始まるところだったので、展示を見る前に少し演奏を聴くことにする。パイプオルガンを演奏する姿は、ダイナミックな動きが多く、見ていて楽しい。演奏者は小柄な方だったが、身体を精一杯使って、迫力ある音を聞かせてくれたどんな楽器でも、生音はやはりいい。企画展「われらの時代」を見る。立体作品に面白いものが多かったのだけど、平面作品が全体に低調だった。

その後、那珂町のアカデミアプラトニカへ。ここでは僕も過去に、数回のグループ展と個展を企画してもらっている。この日は「にしよしみ展」のオープニングパーティー。にしさんとは、このギャラリーを通じて知り合った。彼女は、やわらかで色彩豊かな世界を描き出す。
ここのオープニングパーティーはスタッフの皆さんのおいしい食事と、楽しい雰囲気を味わうことが出来る。オーナーと話をするのも久しぶりで、友人たちとも大いに盛り上がった。腹が痛くなるほど笑ったのは久しぶり。
充実した休日で、とても楽しいひとときでした。
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投稿者 corvo : 19:01

2006年1月14日

ヌードクロッキー

今日は朝から、ヌードクロッキーに出かける。クロッキーとは、短時間で描くデッサンのことで、主に人体を描く訓練になる。
プロのモデルを描くのは、もう10年ぶりぐらいだ。人体を描くことは難しい。絵を描く全ての要素を含んでいるとも言える。人間の身体は形態が複雑で、様々な運動機能を備えている。
今回のモデルは非常に優秀な方で、ポーズのバリエーションも多く、ほとんど動くことなく時間内キープしてくれる。また、ポーズが不自然だったりすると、途中で疲れてきて重心がどんどん移動してしまったりということがある。
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最初に20分ポーズ。クロッキーとしてはかなり長い時間なので、じっくり描くことができる。セピアのカラーインクにつけペン。紙のサイズは65x50cm。
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こちらの4点は5分ポーズ。今の僕にはちょっと短い。まだまだ手が素早く動かない。7分はほしいところ。
今日は、2時間30分で19ポーズ。ヌードクロッキーは、これからも時々続けていこうと思う。
来週から水口さんファンタジー小説の配信が始まるのだけど、その挿絵の制作のためにもクロッキーで訓練しておく必要があった。
人体を描くのは、本当に奥が深い。まだまだ未熟である。
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投稿者 corvo : 21:23

2006年1月12日

American Museum of Natural History Reserch Library

恐竜の情報を得るために、毎日訪れるサイトが二つある。
日本語で海外の情報も紹介してくれるので、非常に重宝している。どちらも個人で運営されているサイトであるが、その継続力と情熱が素晴らしい。
一つは「恐竜の楽園」、そしてもう一つが「恐竜パンテオン」である。昨日、この「恐竜パンテオン」で、アメリカ自然史博物館の提供するサービスAmerican Museum of Natural History Reserch Libraryの紹介があった。これは優れものである。この博物館で出版された学術論文の全てを検索し、ダウンロードすることができる。PDFファイルなので、図版もそのまま保存できるし、極めて貴重な資料も入手することができる。これが全て、ネットから無料でダウンロードできるのだから、使わない手はない。
ただし、ちょっとバグもあるようで「camarasaurus」で検索したところ、「camarasaurus」がタイトルに含まれる論文があったのでダウンロードしたのだけど、なぜか「indian」に関する論文が開いてしまった。バグというより、リンクの間違いかな。
それでも、非常に有益なサービスだと思うので、どんどん使ってみてはどうだろうか。
こんな時、思い切って光通信にしておいて良かったと思うのである。
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投稿者 corvo : 16:49

2006年1月11日

井上直久<星をかった日>原画展

今日も9日の話。六本木を出た後に、表参道へ向かう。
南青山のPinpoint Galleryで開催される、井上直久<星をかった日>原画展のオープニングパーティーに参加するためである。
実は年末に突然、井上さんからメールをいただき、是非お会いしたいと思い出かけていったのである。それまで井上直久さんの名前を全然知らなかったのだけど、スタジオジブリ作品「耳をすませば」で、主人公の雫が描く小説世界の背景画を制作した方だということを知り、驚いてしまった。
今回の出品作も、ジブリ美術館で上映されている短編映画「星をかった日」の原作となったものである。
オープニングパーティーは大変にぎわっていて、井上さんの優しさあふれる雰囲気が場を和やかにしていた。作品世界もそんな人柄を反映するように柔らかい。井上さんとは、慌ただしい時間の中、随分時間を割いていただき、いろいろな話をすることができた。また、是非お会いしたい方である。(今年中に何度か会うことになりそうです)
展覧会は今月21日まで開催。会期中は無休。(ただし井上さんは、関西在住なため会場には詰めていないということです)

昨日は、出版社と打ち合わせ。これまで進めてきた絵本の企画とは違う出版社の仕事で、これはすぐに始めなくてはいけない。今年の夏の恐竜展にあわせた出版が多いので、これからどんどん制作期間が重なってきそうだ。
今のうちにしっかり準備しておこう。今日は引き続き、指示書の制作である。論文を調べながらなので、なかなか進まない。図面から立体をとらえてもらわなくてはいけないので、頭の中でも立体を構築しながらの作業である。完全にちかい形で発見されている標本ならよいのだが、なかなかそうはいかない。明日には完成できるかな。
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投稿者 corvo : 23:45

2006年1月10日

杉本博司ー時間の終わりー展(続き)

昨日の続きを少し。
杉本博司のシリーズに「ジオラマ」がある。
これはニューヨーク自然史博物館にある、古生物などの生態を復元したジオラマ展示を撮影したものである。彼はこれらの展示を最初に見たとき、とても陳腐でリアリティのないものだと感じたらしい。ジオラマは剥製や復元モデルが、書き割りに描かれた背景の前に設置されている。三次元で作られた模型と、二次元で描かれた背景画が同居している、きわめて不可思議な存在だ。そんな時、片眼で展示を見たところ、にわかにリアリティが出てきたということが、キャプションに書かれていた。
そう、片眼でみることと、カメラで撮影することは同義である。カメラの世界も単眼で見た世界だ。写真になることで、新しい世界と空間が創出することになる。

肖像写真のシリーズがある。しかし、実はそれらは全て蝋人形を撮影したもの。見ている時に、写された対象に生気を感じなかったので、すこし混乱があったのだけど、後でキャプションを読んで納得することができた。一瞬、シンディ・シャーマンや森村泰正を想起させたのだが、「違う」という警告がしばらく頭の中に鳴り響いた。生きた人間のコスチュームプレイではない冷たさが、印画紙に定着されることで、生きた人間を写したように見えてくる瞬間があったのも事実だ。
昭和天皇の肖像写真-実際は蝋人形を撮影した物だが、静謐な中に凛とした強さを感じる。

図録を購入したかったのだけど、日本語版は売り切れであったため、バックオーダーで後日配送してもらうことにした。
二日続けての記事で、ちょっと長くなってしまった。
それほどに多くのヒントと、刺激に満ちた展覧会であったと思う。最終日に、無理をしてでも見に行って正解であった。
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投稿者 corvo : 22:20

2006年1月 9日

杉本博司ー時間の終わりー展

今日は午後から、六本木の森美術館へ。最終日である「杉本博司ー時間の終わりー展」を見に行くためである。
天気も良く、暖かな日。祝日であるためか、チケット売り場前から混雑している。まさかチケット買うまでに、並ぶことになるとは思わなかった。行列する通路が建物の中とはいえ、外気とのしきりがないため寒い。といっても、15分ほど待っただけでチケットを買うことができた。
一番、心配していた会場の混雑もなく、ゆっくりじっくり作品と対峙することができた。

最初の展示室、白く巨大な直方体の柱(壁)が、林立している。展示空間の入り口からは、作品の画面を見ることは出来ない。すべての画面が柱の裏がわに設置してある。ひとつひとつの作品は、シルバーゼラチンプリントを額装したもの。印画紙に定着された光の芸術、写真である。額から印画紙、作品のキャプションに至るまで、徹底した美意識で作られている。僕は多少、写真も撮るのだけど、デジタルでなく印画紙に保存された光の美しさに、いつも圧倒されてしまう。僕の手で描くことは不可能な領域だと、絶望させられるほどの美しさと強さがそこにある。
写真の有利な点のひとつに、画面の大きさをある程度、自由に設定できることがある。撮影されたフィルムの大きさによって、引き延ばすことができる限界はあるが、小さい物を撮っても、大きなものを撮っても、または空間であっても、自在に画面の大きさを変更することができる。これが、絵画の場合だと出来ない。最初に設定した画面の大きさ、肉体の限界など、物理的、身体性に関わる制約をどうしても受けてしまう。デジタル絵画であれば、この制約を取り払うことができるが、従来の絵画の持つ身体性を失ってしまうことになる。
この展示を見る限り、インスタレーションなどという表現形式は、吹き飛んでしまう。これが真のインスタレーションだろう。ひとつひとつの作品が美しく独立して、さらに大きな空間を形成する単位として機能している。展示するとき、杉本博司は、必ず展示空間の設計(もちろん既存の空間の制約の中で)まで自ら行うという。僕は、今日、彼の徹底的に磨かれた美意識の中に浸りきることが出来たのだ。これは最高に幸せなことであり、最も悔しい瞬間である。
彼は、僕など比べようもないほどのキャリアを積み上げてきた作家ではあるが、作品を作っている以上、それが世の中に出てしまった時には、全ての物が同列に評価されなくてはいけない。同時代に生きる人間の作った、圧倒的に美しい物を目にすることは、敗北感に苛まれる瞬間でもある。これは正直なところだ。しかし、負け続けるわけにはいかない。美しいものを作りたい、見たいという欲求は人間にとって自然なことなのだと実感する。

水平線を撮り続けている作品のシリーズ。展示室には能舞台が設置してある。会場に鳴り続ける高周波の音が、少し僕には辛い。でも、その音がひとたび鳴りやみ、しばしの静寂が訪れたとき、不思議な感覚を味わった。今まで高い音に引っ張り上げられていたような感覚が、すっと脱力したように心地よく落ち着く。そして、ふたたび音が鳴り始めると、少しの不快感とともに緊張感が増してきて、画面に向かう感覚が変化してくる。能舞台の檜の香りもあいまって、静かな中にも心をざわつかせる不思議な体験であった。

彼のインタビューをまとめた映像を、会場で流していたのだけど、その中で「写真」は「化石」であるという話をしていた。写真は時間の瞬間を切り取り定着させる。化石はその生物の時間がとまり、定着した状態である。だから同じ物なのだと。これには目の覚める思いであった。僕の中に別の視点を開けてくれたように思う。
これまで、僕は化石から生きた姿を復元することを試行錯誤してきたわけだが、それは、化石となってしまった生物を、我々の時間の中に蘇らせるような感覚であった。しかし、本質的には、その化石の時間を巻き戻していくことが復元なのだ。僕は、そのことをあまりに軽視し、忘れてしまっていたかもしれない。また、杉本博司は「化石」をいくつか、大切にコレクションしている。過去の生命に対する敬意を忘れてはいけないのだと。さらに彼はその保管庫を「神棚」として、手を合わせるのだと語っていた。

今日が最終日で、もう見ることは出来ない展示ではあるが、大変満足した展覧会であった。ここでお薦めと書けないのが残念。おしむらくはこの美術館が、六本木にさえなければ、ヒルズタワーの中にさえなければ、とついつい思ってしまう。
僕はどうも六本木が苦手なのである。
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投稿者 corvo : 22:07

2006年1月 8日

復活

今日、復活。どうやら身体の中から、悪い物が抜けきったようだ。
2000年7月の中国、2001年10月の中国、2004年8月のモンゴル以来の、ひどい下痢だった。1日で治ったのには、本当に助かった。モンゴルの時など、現地で2日。さらに帰国後もしばらくは調子の悪い日々であった。
しかし、この2日間のロスは痛い。予定通りに仕事が進まない。連休明けには納める予定であった仕事が、少し後ろにずれ込んでしまう。今日、1日頑張ってみたが、1日で終わるボリュームではない。調べながらの作業は、時間がかかる。
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その仕事というのは、フェバリットコレクションの次期モデルのための、指示書制作である。この写真を見て何か分かった人は、大きな声は上げないで、自分だけで納得しておいていただければ幸いです。
連休明けには、色々と本格的に動き出しそうな気配。
今からしっかり体調を整えて、頑張っていきます。
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投稿者 corvo : 23:36

2006年1月 7日

体調不良

昨日、今日と体調が悪く、更新が遅くなってしまった。
今朝からは特に最悪で、酷い下痢に悩まされている。一日の大半をトイレで座って過ごす生活である。
年末年始の疲れが、一気に来たのかもしれないが、身体の中の悪いものはこれで全部流されていってほしいところである。
そんなことで、半分まどろみながら読書をし、便器に座ってはそのまま読書をし、という生活である。
何を読んでいるかというと「幼児化するヒト - 「永遠のコドモ」進化論」である。半分ぐらい読んだだけなので、まだ感想を書く段階でないと思うのだけど、色々と考えるきっかけになる本だ。筆者は、テレビ局で動物ドキュメンタリーを制作していたというイギリス人で、プロの研究者が書いた本ではない。それだけに、読みやすく、ぐいぐい引き込まれていく内容である。
残念なのは統計学的な図表などが全くないため、筆者が述べている事象が、どれほど事実にそくしているのかが分かりにくい点である。また、文中に索引がないため、引用先が不明瞭であることも惜しい点である。
それでも面白い読み物であることにかわりはない。幼形成熟ーネオテニーを主題に、人間の進化の謎を解き明かそうと試みている。ネオテニーについては、まだ勉強不足で、ここで語れるほどの知識はないのだけど、進化において重要な役割を持っていることは間違いなさそうだ。
直立二足歩行についての考察をまとめた本では、「親指はなぜ太いのか―直立二足歩行の起原に迫る」が面白い。新書ではあるが、図版、資料も豊富で説得力のある論旨が展開される。目から鱗の一冊であった。

比較的、読書が好きで、これまでも色々読んできたのだけど、文章が映像化できない本は苦手である。どうにも読み進めなくなってしまうのだ。その最たる物は、法律に関する文書や、保険の契約書のようなもので、文章を理解するのに難儀してしまう。
上記二冊は、僕には非常に読みやすい本である。
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投稿者 corvo : 20:21

2006年1月 5日

mammuthus process 02

マンモス2日目。どうもしっくりこない。鉛筆でスケッチを描いてみたが、まだまだ真実からは遠いように感じる。
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A3のケント紙に鉛筆(HB、Bを使用)。
大きな画面で描いてみる。身体を使って描けるので、伸びやかな線がひける。
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アルシュ紙にチャコールペンシル。哺乳類には哺乳類の難しさがある。
現生のゾウを復元の参考にすることができるが、ケナガマンモスには長く深い体毛がある。今のゾウにはないものだ。体毛の中にある皮膚、筋肉と骨格の造型をイメージできるように、描かなくてはならない。
難しい。
生きているときは体毛も汚れていただろう。臭いがきつかったかもしれない。夏と冬で体毛の質も変化したはずである。今回は冬毛の設定で復元してみようと思っている。体臭が匂い立つようなリアリティがでるとよいのだが。
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投稿者 corvo : 22:11

2006年1月 4日

mammuthus process 01

今日はまた一段と寒い。年末年始と数日家を空けていたため、家の中が冷えてしまっていた。全体が暖まるまでに、もう少し時間がかかりそうだ。
昼過ぎに出かけた本屋で見つけた「1万8000年の時を経て甦るマンモス―最先端医用技術が太古の巨獣にせまる」が面白い。いまさらながら、ユカギルマンモスに興味がわいてきた。古生物を描く仕事をしていると、1万8千年前というのは、すごく最近のような気がしてならない。もちろん有史以前なわけで、人間にとっては途方もない昔の話である。
これまでマンモスの復元画をきちんと描いたことがなかったので、これを機会に挑戦してみようと思う。まずはユカギルマンモスの頭部を復元してみたい。この標本はCTスキャンを使って、詳細なデータが作られており、内部構造まで分かる図版がこの本に掲載されている。
骨格だけでなく、筋肉や皮膚などの軟組織まで保存された標本は、復元のヒントをたくさん提供してくれる。また、現在も仲間であるゾウが生きているため、恐竜などを復元するよりは精度が高い物になると思う。しかし、人間が見慣れている現生の動物がモデルになるため、より厳しい目で見られることも覚悟しなくてはいけない。
簡単にラフスケッチだけ描いてみた。次は鉛筆で詳細なデッサンをする予定である。
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A4のコピー用紙に、水性ボールペンでスケッチ。いつも最初は、こんなラフな感じでスタートする。
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投稿者 corvo : 23:06

2006年1月 3日

渋滞

2日の夜、無事、帰宅しました。
今回、予想していたほどの渋滞はなかった。3年前に三重から帰ってきたときは、常に渋滞のピークに巻き込まれ13時間もかかってしまった。どうせ渋滞にはまるならと、少しゆっくりしてから出発したところ、渋滞のピークが過ぎてからの移動だったため楽に走ることが出来た。心配していた箱根の雪もなく、午前様にならずにたどり着けたのは嬉しい誤算だった。
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写真は帰りの伊勢自動車道からの景色。少し雨が降っていたのだけど、太陽が顔を覗かせていて、綺麗に虹がかかっていた。ちょっと分かりにくいかな。
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行きでも紹介したナガシマスパーランドの絶叫マシンたち。前回は暗い中のぶれた写真だったのだけど、明るいところで見るとこんな感じ。
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伊勢湾岸道路の巨大な橋のひとつ。アップダウンとコーナーが多く、ダイナミックな造型である。サイズは全く違うが、竜脚類の脊椎の構造を想起させる。参考にするために、助手席の妻に何枚か撮影してもらった。

今日は妻の実家へ年始の挨拶に行くため、都内を走ったのだけど、三が日にもかかわらず渋滞、渋滞の連続。あまりに動かないので、そうとうにいらいらしてしまった。
首都圏の移動は、理由がない限り、電車にするべきだ。車だと暖かく、快適なのだけどね。
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投稿者 corvo : 23:55

2006年1月 2日

初詣

元旦、朝は実家で久しぶりのおせちを食べる。
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午後からは、妻と伊勢神宮へ初詣に出かける。
車では混雑してしまうため、近鉄を使って行ったのだけど、電車の本数の少なさに驚く。
首都圏の交通事情が当たり前になっていると、すかすかの時刻表が新鮮に見える。
まず伊勢市駅まで行き、外宮をお参りする。その後、臨時で出ている直通バスに乗って、内宮へ移動。
外宮での人出はそれほどなかったのだけど、さすがに内宮は混雑している。内宮だけ参拝する人が多いのだろう。
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内宮の参道。ぼちぼちと人が増え始める。
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鬱蒼と繁る、杉の大木。自然と厳かな気分になってくる。天気も良くすがすがしい空気である。
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参拝する直前に大混雑。いつもここは混む。
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無事、参拝を済ませて、赤福の本店で赤福を堪能。小皿に盛りつけられた赤福3個に、おいしいお茶をいただく。一人前280円。
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その赤福がプロデュースしたおかげ横丁に立ち寄る。僕が子供の時には、まだなかった。江戸末期から昭和初期の風情を楽しみながら、食事や買い物が楽しめる観光名所である。
久しぶりに伊勢神宮にお参りできて、充実した休日であった。
明日の夜には自宅へ戻ります。
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投稿者 corvo : 02:06

2006年1月 1日

Happy New Year !

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新年あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。
皆様にとって本年も良い年でありますように。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2006年1月1日
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投稿者 corvo : 00:03