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2005年11月13日
金沢での講演会
12日、金沢での講演会。
雨の中、ANA751便で8時45分に羽田を出発。
ほとんど寝る間もなく、9時50分予定通り小松に到着。
その後、迎えに来てもらった車で会場へ移動する。
会場である石川県立生涯学習センター周辺は、金沢城公園、兼六園も近く紅葉が美しい。
講演まで時間があったので、金沢21世紀美術館を見に行く。この美術館、友人からとても良いと聞いていたのだけど、予想以上に素晴らしかった。
建物はフラットで高さがなく、街の中の景観にとけ込み威圧感がない。周囲の敷地は公園になっており、美術館内部へは四方向から入ることが出来る。また建造物の周囲はガラスで出来ていて、開かれた印象を与えている。
企画展「もうひとつの楽園 Alternative Paradise」はなかなか面白かった。日本と海外合わせて11人の招待作家によるグループ展と、茶室をテーマにした「T-roomプロジェクト」からなる展示で、「「工芸」の現代的価値を問いかける」ことが基本コンセプトにある展覧会ということである。
招待作家の作品もきちんと作り込まれた作品で、展示空間をきちんと使いこなしていたと思う。この美術館は様々な大きさや形の展示室に分かれており、作家のスケール感、作品のサイズなどに合わせて、もっとも適した空間を選ぶことが出来るようだ。独立した展示空間もそれぞれが緩くつながっており、うまく響きあっていたように感じた。
ぞれぞれの展示室には、ボランティアと思われる解説員の方が常駐しており、こちらの質問に丁寧に答えてくれる。いままで現代美術には興味がなかったのだけど、これをきっかけに勉強したといった感じの方が多く(あくまでも僕の印象です)、とにかく一生懸命に説明をしてくれるのである。
ぎこちない所がありながらも、この美術館が好きだという気持ちが伝わってきて、見る側も自然に楽しい気分になってくる。
写真のプールに見えるのは、常設展示のレアンドロ・エルリッヒ作「スイミング・プール」である。強化ガラスに水が張られていて、地上からと地下からの両方から作品を体験することができる。時々、知らない人同士でらカメラを向けあったりしながら、コミュニケーションが生まれたりと楽しくとても美しい作品である。特に金沢は天気が良かったので、水の波紋がきらきらと輝いていた。
本当はずっと美術館にいたかったのだけど、講演会の時間が迫ってきたため仕方なく会場へ戻る。
13時の受付時間直後は出足が悪く、主催者もやきもきしていたようだが、最終的には50名ほど集まっていただき盛況のうちに講演会を始めることが出来た。
今回、用意していったスライドショーは3本立てである。
1. 「恐竜の世界を復元するには」。どういうプロセスで恐竜を復元するかを、実際の制作過程を紹介し説明。また、全身の骨格がほとんど揃っている場合の復元と、一部の化石しか見つかっていない場合の復元の二通りの方法を解説した。
2. 「Paleontology art」。これまで制作した復元画の一部を60点ほど紹介。
3. 「SVP2005」。今年10月にアリゾナで開催されたSVPの様子を紹介。これが一番受けたかも。
思った以上に年配の方の参加が多く、子供たちが少なかったのが少し残念。
復元画の制作過程を紹介したのは、このblogでも連載していた「アパトサウルス」と、1999年に新聞やテレビでも報道された「白峰村で発見されたオヴィラプトル類」である。オヴィラプトル類の復元は、たった一個の「末節骨(指先の骨)」から全身の復元画を描くというもので、非常に挑戦的な仕事であったことを思い出す。
ここで解説しようとすると非常に長くなるので、機会があればworkshopで紹介できればと思う。
講演会をやると、毎度のことながら「色」の質問が出る。毎回、必ず質問しないようにと、最初に色は分からないということを説明するのだけど、今回はその説明をする前に質問を受けてしまった。この質問、とても嫌いです。
「色」の復元は、あまりに材料がなさすぎる。どう説明しても、質問した人を満足させることは出来ないだろう。確証ある解説など絶対に無理である。
しかし、骨格や筋肉の復元ならば、正解にたどり着くことは出来ないかもしれないが、残された化石証拠から色々な結果やアイデアを導き出すことができる。是非、ここの面白さを理解してほしい。
色についてはこちらを参照「恐竜の色は?」。こんな程度に考えておいてほしい。
講演会の様子の写真。90分しゃべり続けるのはさすがに疲れる。もっとうまくしゃべれるよう、色々と工夫していかなくては。毎回思うことだが、自分の考えを整理して話すことはとても勉強になる。
この日のうちに、自宅へとんぼ返り。さすがに日帰りはきつい。
この度はスタッフの皆様、ご来場いただいた皆様。どうもありがとうございました。
これに懲りずにまた呼んでください。そして、また聞きに来てください。
投稿者 corvo : 2005年11月13日 22:51